高齢化が進む中で「老老介護」という言葉が身近になっています。
老老介護とは、介護する側もされる側のどちらも高齢者である状況です。
介護する側もされる側も高齢であるため、介護疲れなどによる「共倒れ」のリスクも高く、深刻な社会問題となっています。
核家族化が進行し、老老介護に直面しているご家庭も少なくありません。
今回は、老老介護の基本知識から子供世代が親にできるサポート、そして知っておきたい介護サポートの活用についてご紹介します。
老老介護とは?
老老介護とは、介護される側も介護する側も65歳以上の高齢である状況です。
世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者と定義しています。
総務省統計局のデータによると2022年時点で65歳以上の人口は全体の29%であり、75歳以上は15.5%という結果です。
高齢化に伴い老老介護、超老老介護も増加しています。
参考:総務省統計局 人口推計(2022年(令和4)10月1日現在)結果の要約
老老介護の割合
厚生労働省の国民生活基礎調査のデータによると、要介護者のいる世帯の中で「高齢者世帯」が全体の61.5%(2022年時点)という結果でした。
2001年には高齢者世帯の割合は35.3%であったのに対して、約20年で2倍近く増加していることが分かります。
さらに、要介護者からみた続柄は、「配偶者」が最も多く、ついで「子」の順となっていました。
年々65歳以上の高齢者同士の介護の割合が増えていることが分かります。
参考:厚生労働省2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
老老介護によって起きている問題
老老介護によって下記のような問題も増えています。
- 身体的、心理的な負担の増加
- 経済的な問題
- 社会的孤立
- 介護を継続することへの不安
介護による重労働だけでなく、ストレスや孤独感などの精神的な負担も大きいでしょう。
また、年金生活の中で介護への費用が増加し、経済的な問題もあります。
さらに、介護に追われることで外出の機会が減り、社会的なつながりが希薄になることも。
介護が長期化することで「続けられるのか」という不安や介護者自身が介護を必要する状況への懸念なども生じます。
子供世代が親にできるサポート
核家族化が進行し、高齢の親と離れて暮らす子供世代も少なくありません。
ここでは、子供世代が老老介護に直面する親にできるサポートをご紹介します。
①コミュニケーションの強化
介護者の親の気持ちや話を聞くことで、共感と理解を示すことで精神的な支えになるでしょう。
介護で悩んでいることなどを聞き、一緒に解決策を考えることも大きなサポートになります。
話を聞いてもらえるだけでも気持ちが楽になります。
②日常生活のサポート
定期的に買い物や掃除、料理などの日常生活の手助けも、介護者にとっては大きなサポートになります。
また、医療機関への通院の付き添い、送迎など、日常生活の負担の軽減につながります。
③介護サービスの手配
介護保険サービスをうまく活用することも、介護者のサポートにつながります。
在宅サービスやデイサービスなど、介護サービスに関する情報を集め、親の状況に合わせたサービスを検討しましょう。
各市町村の地域包括センターに問い合わせると、介護サービスの相談に乗ってもらえますよ!
④補助金や助成金の申請
自宅の介護環境を改善するための介護リフォームで利用できる補助金などもあります。
また、介護休業給付など、介護休業を取得したときに給与の一部が保障される制度もあります。
⑤介護者の休息の確保
定期的に介護から離れる時間を作ることも心理的なサポートにつながります。
自宅で24時間介護を行っている場合は、心身ともに負担が大きいため、ショートステイなどのサービスを活用することも方法の一つです。
知っておきたい介護サービスの活用と制度
「介護は家族がやるもの」という意識も強いですが、介護サポートをうまく利用することで、介護者の負担を軽減できます。
介護保険制度
介護保険制度は、65歳以上の高齢者または40歳以上65歳未満の特定疾病を持つ人が対象です。
在宅介護サービスや施設サービスなどを利用できます。
介護保険制度の利用には、要介護認定が必要になり、利用できるサービスは認定レベルによって異なります。
わたしの祖父母も要支援から認定がスタートし、要介護までレベルが上がりました。
地域包括センター
地域包括センターは、高齢者の自立支援や介護予防など、総合的な相談支援を行う施設です。
介護サービスの利用方法や介護保険制度に関する相談などに応じてます。
介護保険の申請窓口も担っているので、まずは各市町村の地域包括センターに相談しましょう。
老老介護の状況を前向きに乗り越えるためには?
親の老老介護の状況を前向きに乗り越えるためには、介護サービスの検討や将来の計画が大切です。
また、介護を受ける本人の要望も確認しながら、介護の必要度が高まったときにどうするのか、を決めておくと安心です。
例えば、介護を受ける本人が自宅で最期まで過ごしたいとの要望であれば、在宅介護サービスの検討や同居などの選択肢も出てくるでしょう。
また、施設の入居を視野に入れているのであれば、早い段階で入居の予約なども対応可能です。
わたしの祖父は施設に入りたいと言っていたので、介護レベルが上がった時点で施設入所の手配をしました。
老老介護は家族全員で取り組む問題
今回は、老老介護の基本知識から子供世代が親にできるサポート、そして知っておきたい介護サポートの活用についてご紹介しました。
高齢化が進み、老老介護、超老老介護が深刻な社会問題となっています。
また、核家族化が進み、遠方に住む親が老老介護の状態に直面して心配されている方も少なくないでしょう。
適切な介護サービスなどを活用しながら、老老介護に取り組む高齢の親をサポートすることが大切です。
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