皆さんは自動車免許をお持ちでしょうか? 自動車の運転はされていますか?
「免許はあるけど、全然運転していないなぁ」
都心部や交通の便が良い場所にお住まいの方であれば、ペーパードライバーになってしまっている方も多いのではないでしょうか。
「ずっと運転してきたけど、そろそろ70歳。
自分ではしっかり運転できているつもりだけれど、高齢者の自動車事故のニュースを見るたびに考えちゃう。」
ブレーキングの遅さやハンドル操作、アクセルとブレーキの踏み間違えなど、ニュースなどでよく報道されている高齢者の自動車事故の原因は、加齢に伴う技術の衰えが挙げられます。
ペーパードライバーや、運転に自信がない高齢者の方は「運転免許の自主返納」を検討してみてはいかがでしょうか?
本記事では、運転免許証の返納、特に高齢者の「自主返納」について解説したいと思います。
自主返納のタイミングやメリットデメリットについて見ていきましょう。
運転免許証の自主返納とは
自主返納は「申請による取り消し」を指します。
運転免許を保有する方が、その方の住所地を管轄する公安委員会に、ご自身で申し出ることにより、運転免許の取消しをすることができる制度のことです。
参照:兵庫県警察㏋
返納の手続き
返納の手続きには2種類あります。
必要なものは基本的には運転免許証のみですが、 念のため管轄の警察で必要な申請書類を確認しておきましょう。
郵送による手続き
自治体によって対応していない場合もありますので事前に確認しておきましょう。
郵送による手続きであっても、申請者本人が事前申込みを行う必要があります。
警察署等の窓口での手続き
窓口での申請の受付時間は、警視庁やそれぞれの道府県警察の窓口により異なるので注意しましょう。
事前にホームページや電話で確認しておきましょう。
窓口での手続きについては、下記の関係性の方であれば代理も可能です。
・親族(同居、別居は問わず)
・申請者本人が入院中の病院、入所中の介護施設などの職員
・福祉関係の有資格者
・成年後見人
代理手続きには、必要書類のほか、委任状と代理人の住所・氏名・生年月日が確認できるもの を持参しましょう。
注意!こんな人は申請できない
下記の条件にひとつでも該当する人は自主返納できません。
・運転免許証の有効期限が切れている人
・免許の取り消し基準に該当する人
・免許停止の処分を受けている人、または免許停止処分の基準に該当する人
・初心者期間(免許取得から1年間)に再試験の必要がある行為をした人
自動車免許返納のメリット
運転免許を返納すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。 具体的に見ていきましょう。
自動車事故の加害者になるリスクがなくなる
身体能力や判断能力が衰えると、自動車を運転することが難しくなります。
アクセルとブレーキを踏み間違えたり、シフトの入れ間違い、歩行者や自転車の存在を認識できないなどで事故を起こしてしまうということも、よくある話です。
免許を返納すると、自動車を運転することがなくなるため、自動車事故の加害者となるリスクはなくなります。
運転免許証の悪用のリスクがなくなる
運転免許証は本人確認書類として利用できます。
そのため、運転免許証を紛失したり盗難されたりした場合、悪用されてしまう可能性があります。
運転免許証はローンを組んだり、消費者金融から借入れされたりに利用されてしまうだけでなく、住所が特定されてご自身や家族に危険が及ぶということも考えられます。
高齢者は特典を受けられる
「運転経歴証明書」を提示することで、様々な特典を受けられます。
具体的には、タクシー料金の割引や、百貨店で購入した商品の無料配送などが挙げられます。
運転免許経歴証明書については、のちほど解説します。
自動車免許返納の特典
自主返納で受けられる特典は、割引サービスや無料提供、プレゼントなどがあります。
加盟している企業も多く、中には「銀行の定期預金の金利上乗せ」といったものもあり、生活の助けになる特典がたくさんあります。
特典の内容などは自治体によって異なり、地域の特色が出ているものも多くみられます。
代表例として、東京都と大阪府を挙げてみます。
東京
ホテルや観光バスなどが多いというイメージです。
東京都で受けられる特典は、警視庁ホームページで確認できます。
警視庁㏋:「高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧」
大阪
商店街の割引が多く見受けられます。
大阪府で受けられる特典については、大阪府ホームページで確認できます。
大阪府㏋:「高齢者運転免許自主返納サポート企業・自治体及び特典内容」
自動車免許返納のデメリット
自主返納にもデメリットはあります。
どんなデメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
運転できない
当然ですが、運転することはできません。
ペーパードライバーの方なら問題ないかもしれませんが、移動手段として日常的に車に乗っておられる方は、不便を感じるでしょう。
外出も億劫になってしまうことも考えられます。
車のない生活に慣れていくのも肝心です。
身分証明書
運転免許証を身分証明書として利用している方も多いのではないでしょうか。
本人確認書類として持っておこうと考えている方もいらっしゃるでしょう。
返納しても免許と同様、身分証明になるものがありますので返納時に申請しておきましょう。
「運転経歴証明書」の申請をしよう
前述の通り、運転免許証を返納すると、本人確認書類として利用できる運転経歴証明書を交付してもらえます。
日常で利用する場所ではほとんど利用できますし、提示すると特典が受けられるようになります。 免許返納時に交付申請して、利用しましょう。
大阪府警㏋:自主返納と同時に運転経歴証明書を申請される方
自動車免許を返納できない時は
車に乗れないと不便に感じたり、仕事で自動車を運転しないといけない、など返納が難しい場合も考えられます。
運転技術に不安があるようなら、講習会やサポカーの利用をおすすめします。
講習の受講
講習を受講して、運転技術や判断力などを確認しましょう。
高齢者の場合 運転免許の更新期間満了日の年齢が70歳から74歳までの方で、免許を更新する場合は高齢者講習の受講が義務付けられています。
高齢運転者支援サイト:「高齢者講習及び認知機能検査等」
高齢者でなくとも、シニアやペーパードライバーの方向けに、一般の教習所や団体でも安全運転講習を実施していますので、興味のある方はぜひ受講してみてください。
一般財団法人 全日本交通安全協会:「安全運転講習会開催のお知らせ」
サポカーの利用
「サポカー」に乗ることも対策の1つです。
サポカーとは最先端の技術で運転をサポートしてくれる車のことです。
アクセルの踏み間違いによる事故を防止する「踏み間違い加速抑制システム」などを搭載しており、安全に車に乗ることができます。
返納体験
大阪府警は、独自の取り組みとして「返納体験」を実施しています。
大阪府にお住まいであれば、利用してみては。
内容を参考にして、ご自身で疑似体験をしてみてもいいですね。
大阪府警察:「運転免許証返納体験」参加者募集中!!
高齢ドライバードットコム: 「マイカーを手放した後の生活を疑似体験してみよう!(大阪府警察本部へのインタビュー)」
自主返納を考えてみよう
自主返納は、実は年齢制限がなく、運転免許を保有するすべての方が対象となる制度です。
特に高齢者にとっては、身体能力や認知能力の変化に伴うリスクを減らし、安心して暮らせる生活への第一歩として、自主返納は有効です。
自主返納をためらう方もいらっしゃるかもしれません。
運転できずに不便を感じることや、移動手段が限られると感じる方も少なくありません。
しかし、家族や周囲の方と相談しながら、生活スタイルを見直す良い機会と捉えることもできます。
最初の一歩として、ご自身の地域の警察や自治体が提供する自主返納に関する情報を確認してみることをおすすめします。
具体的な手続きや、必要な書類、そして返納後に利用できる支援サービスについて知ることで、安心して返納を検討できるはずです。
人生の新たなステージに向けて、自主返納は自分自身や周囲の人々の安全を守る大切な選択です。
ぜひ、前向きに考え、より安心で快適な生活を実現しましょう。
参照:高齢運転者支援サイト
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