「最近、高齢の母の耳が遠くなった気がする…」
「高齢の父が転んで入院生活を送っている」
年齢を重ねると体にも様々な変化が起こります。
高齢になると身体機能が低下し、日常生活に大きな影響を及ぼすケースも少なくありません。
体の変化は加齢により自然に起こるものですが、適切な対策を行うことで予防や影響を最小限に抑えられますよ!
今回は、元看護師の前谷が高齢者の体に起こる10の変化についてご紹介します。
①皮膚の変化
加齢に伴い皮膚が薄くなり、乾燥が生じます。
見た目はハリがなくカサカサした皮膚になり、スキントラブルなどのリスクが高くなります。
- 皮膚が薄くなる
- 弾力の低下
- 乾燥(ドライスキン)
- 免疫力の低下
傷がつきやすく、治りにくいなどの特徴が見られます。
乾燥や皮膚トラブルを予防するためにも保湿が大切です。
②筋力と骨密度の低下
加齢により筋肉を構成する筋繊維数が減少、さらに筋繊維の萎縮により筋肉量が低下します。
また、加齢により骨吸収量が増加し、骨粗鬆症を発症するリスクも高まります。
- 転倒しやすい
- つまづきやすい
- 歩行時には手すりや杖が必要
特に女性は閉経後に骨粗鬆症を発症するリスクが高まるため、注意が必要です。
関節の変形なども加齢によって引き起こされ、変形性膝関節症などの病気になる場合もあります。
「家の中でつまづくことが増えた」と感じたら手すりの設置や杖の使用を検討しましょう。
③柔軟性の低下
加齢とともに関節の軟骨がすり減り、柔軟性も低下します。
関節の柔軟性が低下すると、物を持ち上げるなどの日常生活動作にも影響を及ぼし、生活の質の低下にもつながるでしょう。
- 転倒しやすい
- 関節に痛みが生じる
- つまづきやすい
- 日常生活動作に支障が出る
足が上がらず段差につまづき転倒などの怪我のリスクも高まります。
関節の柔軟性を高めるストレッチなども効果的です。
④視力と聴力の変化
加齢により老眼や高音が聞き取りにくい「老人性難聴」を発症するリスクが高まります。
また、聴力の低下により会話が理解できず、コミュニケーションが取りにくくなることも考えられます。
【視力の低下】
- 目が見えづらくなる
- 転倒転落を引き起こしやすくなる
- 日常生活動作が低下する
【聴力の低下】
- 会話が理解できない
- 早口で喋られると理解できない
- 高音が聞き取りにくい
特に視力低下は、転倒転落などの事故のリスクが高まるため、早い段階で眼科を受診することが大切です。
聴力や視力が低下したと感じたら、まずは専門医に診てもらいましょう。
⑤心血管系の変化
高齢になると心臓が肥大するなどの変化が起こります。
また、血圧も年齢とともに高くなり、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)との差が大きくなる特徴があります。
- 心臓の壁が分厚くなり心臓肥大が起こる
- 心臓が広がりにくくなる(拡張障害)
- 血圧が高くなる
- 心臓血管系の病気のリスクが高くなる
心臓の変化だけでなく、血管も脆くなり、心臓疾患を発症するリスクも高くなります。
血圧が高い場合は、血圧コントロールに取り組むことが大切です。。
⑥記憶力と認知機能の変化
加齢に伴い、認知機能が低下することが一般的です。
認知症はアルツハイマー病などの疾患が原因であり、加齢が原因ではありません。
- 記憶障害(物忘れ)
- 失行、失認
- 遂行機能障害(計画を立てて物事が実施できない状態)
例えば、高齢になると新しい環境に適用する能力が低下するため、瞬時に反応したり、判断することが難しくなります。
認知機能の低下により、日常生活を送れない状態になることも少なくありません。
認知機能の低下を感じたら、介護サービスの利用を検討することも方法の一つです。
⑦消化系の変化
高齢になると口腔機能の低下、胃や腸などにも変化が生じます。
また、歯周病などの疾患により歯を失い、咀嚼力が低下、食欲低下につながることも少なくありません。
- 【口腔内の変化】口腔内の衛生状態が悪くなり食欲低下を引き起こす
- 【内臓の変化】化吸収が悪くなることで栄養の吸収率が低下する
- 【内臓の変化】蠕動運動の低下などにより便秘傾向になる
さらに、消化液の分泌能力の低下や蠕動運動の低下により、便秘傾向になりがちです。
高齢者の間では便秘を解消するために下剤を服用する方も少なくありません。
歯科検診や食べやすい形態の食事に変更するなどの対応が大切です。
⑧代謝の変化
加齢とともに筋肉量が減少し、基礎代謝も低下します。
基礎代謝の低下に伴い、活動量が減り、食欲低下、さらに低栄養に陥ることが考えられます。
- 疲れやすくなる
- 活動量が低下する
- 食欲が低下し低栄養になる
活動量が低下し、外に出ず引きこもりがちなる方も少なくありません。
デイサービスなどの介護サービスの導入も選択肢の一つです。
⑨免疫機能の低下
加齢に伴い免疫系の機能が低下し、感染症などにかかりやすくなります。
高齢になると体内で作られる免疫細胞が減少し、アレルギーなどの自己免疫疾患と呼ばれる病気を発症するリスクも高まります。
- 感染症にかかりやすくなる
- 傷などが治りにくい
- 回復が遅くなる
肺が炎症を起こす肺炎などの病気にも感染しやすくなります。
家族が移さないためにもマスクの着用などの感染予防の意識も大切です。
⑩水分バランスの変化
年齢を重ねるごとに体内の水分量は減少するため、高齢者は脱水に陥りやすくなります。
成人の体内水分量が60%であるのに対して、高齢者の水分量は50%と減少します。
- 喉の渇きを感じにくくなる
- 汗が出にくい
高齢者は喉の渇きを感じにくく、水分摂取が遅れて脱水になりやすい特徴があります。
脱水症になると血液の濃度が高まり血栓ができるリスクが高まります。
血栓ができると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こし、命に関わる危険性もあるのです。
水分摂取を促す声かけなども効果的です。
高齢者の体の変化を理解しよう
今回は、元看護師の前谷が高齢者の体に起こる10の変化についてご紹介しました。
身体機能の低下など、加齢とともにさまざな変化が生じます。
特に、筋力低下は転倒転落のリスクを高め、骨折などの病気につながります。
高齢者の体の変化を理解することで、怪我や病気の予防、加齢による影響を最小限に抑えることにつながりますよ!
コメント