死装束とは、亡くなった際に着る服のことを指します。
「最期は好きな服を着せて、家族に見送られたい」「故人のお気に入りの服を着せて、見送りたい」と考える方もいるでしょう。
死装束は白い着物姿が一般的ですが、好きな服を着せることも可能です。
この記事では、好きな服を死装束に選ぶ時のポイントや注意点について詳しく解説します。
死装束は好きな服でも問題ない
最近では終活に取り組む方も増え、最後は自分の好きな服で見送って欲しいと考える方もいます。
日本では仏教の影響で白い死装束を身につける場合が多いですが、自分や家族の好みの服でも問題ありません。
好きな服を死装束に選ぶことで、ライフスタイルや趣味、価値観が反映され、自分らしさの表現につながります。
これにより、故人がどのような人だったのかを周囲の人々に伝えることができるでしょう。
また、好きな服を選ぶことで、自身も安心して最期を迎えることができます。
スーツやドレス・着物でも◎
死装束として選ぶ服は、スーツやドレス、着物などでも問題ありません。
故人や家族、本人の好みの服を選ばれることが多いです。
ただし、派手な装飾や分厚い生地の服、棺からはみ出るサイズなどは、火葬ができない場合があるため葬儀場に断られる可能性があります。
死装束を着せるタイミング
死装束を着せるタイミングは、亡くなる場所によっても異なります。
- 病院でエンゼルケアを行うとき
- 納棺の前
- 湯灌の後
それぞれのタイミングについて見ていきましょう。
①病院でエンゼルケアを行うとき
エンゼルケアとは、亡くなった後の死後の処置のことです。
医療器具を外した後の手当や治療でできた傷の処置などを行います。
さらに、身体をタオルで拭く清拭、洗髪、死化粧などを行い、ご遺体を綺麗な状態に整えます。
病院で亡くなった場合は、看護師がエンゼルケアを行い、その際に着替えなども対応してもらえる場合が多いです。
ただし、エンゼルケアでは浴衣に着替えさせるのが一般的であるため、持参した服への着替えは病院によって対応が異なります。
②湯灌(ゆかん)の後
湯灌(ゆかん)とは、棺に収める前に故人の身体を湯船やシャワーで洗い清める儀式です。
近年は湯灌師と呼ばれるプロが行うのが一般的となっています。
通常は葬儀プランには含まれていないことも多く、オプションであるケースが多いです。
湯灌後に着替えを行い、納棺の流れになります。
③納棺の前
納棺とは、ご遺体を棺に納める儀式のことです。
ご遺体を棺桶に納めるだけでなく、身なりを整え、愛用していたものなどを一緒に納め、旅立ちを整える意味があります。
病院で亡くなり浴衣を着ている場合は、ご自宅や葬儀社で納棺前に着替えを行う流れが一般的です。
死装束を選ぶポイント
亡くなった後の状態によっては、着替えさせることが難しい場合もあります。
死後硬直が始まると普通の洋服では着せられない場合もあるため、着せやすい服を選ぶことも重要です。
ここでは、死装束を選ぶポイントを見ていきましょう。
①ゆとりのあるサイズの服を選ぶ
ゆったりとしたサイズの服がおすすめです。
亡くなった方の中には、病気の治療の影響により浮腫みなどにより、通常のサイズの服が着せられない場合もあります。
ドレスを選ぶ場合もゆったりとしたサイズのものを選ぶのがおすすめです。
②ファスナーや留め具の少ない服がベター
死後硬直が始まった状態でもスムーズに着付けができるよう、ファスナーや留め具が少ないものを選びましょう。
ご遺体の状態によっては、ファスナーや留め具が閉められない場合もあるので、できるだけ着衣が楽な服を選びましょう。
③スボンはストレッチ性のある素材が◎
ズボンを選ぶときは、タイトなものよりもゆとりがあり、ストレッチ性のある素材がおすすめです。
死後硬直が始まると関節の曲げ伸ばしが困難になり、通常のように着衣が難しい状態になります。
また、ベルトはバックルや革の部分が火葬できないため、注意しましょう。
死装束を選ぶ時の注意点
死装束に好きな服を選ぶ時は、以下の注意点を押さえておきましょう。
①事前に家族や親族に伝えておく
死装束で好きな服を選ぶときは、事前に家族や親族にも伝えておきましょう。
事前に伝えておくことで、故人や家族の意向の理解につながります。
また、ご自身で準備する場合は、保管場所も家族に共有しておくことを忘れずに。
エンディングノートなどに写真と合わせて記載しておくと、万が一の場合も慌てずに済みます。
②病院や施設に持ち込む場合は事前に確認しておく
病院や施設によっては、エンゼルケアの時に希望の服に着替えさせてもらうことも可能です。
持ち込んだ服の対応は、病院や施設によって異なるため事前に確認してください。
持ち込んだ服に着替えさせてもらえる場合は、病院やスタッフに服の保管場所などを相談しましょう。
③金属の装飾品など燃えない素材は避ける
一般的に燃えない素材のものは棺の中に入れられません。
- 金属などの装飾
- 腕時計
- メガネ
- 革製品
- ビニール製の素材など
革やビニールは燃え残りやすく、遺骨に付着する可能性があるため避けましょう。
④早めに葬儀社に相談する
死装束を準備する場合は、葬儀社側で用意されている場合もあるため、早めに葬儀社に相談しておくと安心です。
死装束が決まっている場合は、事前に相談することで棺に入れてはいけない素材の可否なども確認できるでしょう。
好きな服で自分らしい最期を迎えよう
死装束は白い着物姿が一般的ですが、好きな服でも問題ありません。
着替えのタイミングは状況によって異なるため、病院や施設、葬儀社に事前に相談して確認してください。
好きな服で最期を迎えるために、家族や親族に意向と保管場所の情報を伝えておくことが大切です。
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