相続放棄後に遺品整理をすると無効になる!?注意点やリスクを解説!

相続放棄とは、被相続人の財産についての権利を放棄することです。

相続放棄をしたものの故人の部屋に残る遺品をそのままにしておいて良いのか」と気掛かりな方もいるでしょう。

相続放棄後、遺品整理を行うことで相続放棄が無効になるケースもあります。

今回は、相続放棄後に遺品整理をするリスクや無効になるケースなどについて相続に詳しい行政書士監修の元、法的な視点で解説します。

目次

相続放棄をしたら遺品整理はできない?

相続放棄をすると、その相続人は被相続人の財産に対する権利を完全に失います

つまり、遺品整理も原則として行うことはできません

相続放棄に関しては、民法939条で下記のように記載されています。

(相続の放棄の効力)
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

出典:第九百三十九条

賃貸の連帯保証人の場合は遺品整理が必要な場合もある

例外的なケースとして、賃貸の連帯保証人になっている場合は要注意です。

故人が契約していた賃貸の連帯保証人になっており、原状回復を含む遺品整理を求められた場合は応じなければなりません。

相続放棄と賃貸アパートの片付けについては、下記の記事で詳しく解説しています。

相続放棄後に遺品整理をするのはアウト

「相続放棄後に遺品整理をせず、放っておいて良いのか心配」という方もいるでしょう。

相続放棄後であっても遺品整理が認められるケースがあります。

一方では、勝手に財産を売却する、隠蔽するなどの行為はバレる可能性が高いでしょう。

財産の管理目的の掃除は問題ない

相続放棄後であっても財産を管理する義務は発生します。

例えば、賞味期限切れの食品や明らかなゴミとみなされるものの処分は、管理目的の行為とみなされ問題ありません

ただし、金銭的な価値のあるものを持ち帰るなどの行為は、相続の意思があるとみなされる可能性があるため注意しましょう。

勝手に処分や売却をした場合はバレる可能性が高い

故人の財産を勝手に処分、売却した場合は他の相続人にバレる可能性が高いでしょう。

財産目録に記載されている財産がなくなっている場合などは、相続放棄が無効になり、単純承認とみなされる可能性があります。

また、財産の一部を隠蔽して利用した場合やわざと財産目録に記載しなかった場合なども該当します。

(法定単純承認)
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

民法第九百二十一条

単純承認とみなされる場合は、相続人としての責任を負うことになります。

▼単純承認の詳細は下記の記事で解説しています。

相続放棄後にやってはいけないこと

相続放棄後には、いくつかの行為を行うことが禁止されています。

これらの行為を行うと、相続放棄が無効になり、相続人としての義務を再度負うことになる可能性があります。

以下に、相続放棄後にやってはいけないことを詳しく解説します。

1. 遺産の処分

相続放棄後に遺産を処分することは禁止されています。

例えば、相続財産である不動産を売却したり、動産を処分したりする行為は、単純承認と見なされ、相続放棄の効力が失われます。

相続財産に対する処分行為は厳重に管理されており、注意が必要です。

2. 遺産の利用

相続放棄後に遺産を利用することも禁止されています。

遺産を一時的にでも利用すると、その行為が相続を承認したと見なされることがあります。

例えば、被相続人の自宅に住み続けることや、遺産の車を使用することは問題になる可能性があります。

3. 遺産の隠匿

相続放棄をした後に遺産を隠すこともNGです。

財産の隠匿行為は犯罪行為と見なされることがあり、相続放棄の効力が失われるだけでなく、法的責任を追及されることもあります。

ただし、金銭的な価値のない形見分けは隠蔽に該当しません

4. 財産の分割

相続放棄後に他の相続人と協力して財産を分割する行為も禁止されています。

遺産分割協議に参加することは、相続を承認したと見なされ、相続放棄の効力が失われます。

5. 遺産の寄付

遺産を第三者に寄付することも、相続放棄後には行ってはいけません。

寄付行為は財産の処分と同様に扱われ、単純承認と見なされる可能性があります。

6. 保険金の受取り

相続放棄後に、被相続人の生命保険金を受け取ることも避けるべきです。

保険金の受取りは、相続財産の一部と見なされることがあるため、相続放棄の効力が失われる可能性があります。

7. 預貯金の引き出し

被相続人の預貯金を引き出す行為も禁止されています。

相続放棄後に預貯金を引き出すことは、財産の処分行為と見なされ、相続を承認したと判断されることがあります。

相続放棄後の遺品整理は誰がやる?

相続放棄をした場合、遺品整理の責任は他の相続人に移ります

他に相続人がいる場合は、その相続人に任せましょう。

遺言によって指定された人が行う場合もある

故人が遺言書を残しており、遺品整理の責任者を指定している場合は、その人が遺品整理を行うことになります。

遺言の内容に従って整理を進めることが求められるでしょう。

相続人がいない場合は相続財産管理人に託される

相続人がいない場合や全員が相続放棄をした場合、家庭裁判所が選任した相続財産管理人が遺品整理を行います

この場合、管理人が法律に基づいて整理を進めます。

相続放棄の相談は専門家に相談しよう

今回は、相続放棄後に遺品整理をするリスクや無効になる場合などについて解説しました。

相続放棄後の遺品整理への対応などは、専門的な知識が必要です。

相続放棄後の行動によっては相続放棄が無効になる場合もあるため、専門家に相談してトラブルを未然に防ぎましょう。

相続放棄の意思がある場合は、まずは専門家に相談しましょう。

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この記事を書いた人

終活図書館編集部/思い出コンサルタント®︎
関西を中心に生前・遺品整理事業サービスを提供する株式会社カラーリスタを中心に、終活や保険のプロがさまざまな情報を発信しています。
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