古い通帳は、遺産相続や休眠預金の確認ができたら処分しても問題ありません。
処分の際は個人情報を黒塗りする、シュレッダーなどで細かく刻むなどの処理を施し、可燃ゴミに出しましょう。
銀行では、古い通帳の処分はしてもらえないので注意が必要です。
今回は、古い通帳の正しい処分方法などを詳しくご紹介します。
「遺品整理中に古い通帳が出てきた」「故人の通帳を処分したいが正しい処分方法が分からない」とお悩みの方は、参考にしてください!
遺品整理で古い通帳を見つけたときの対応
遺品整理で古い通帳が出てきた際の正しい対応は以下のとおりです。
- 遺産相続が終わるまでは保管しておく
- 預貯金の確認を行う
金銭トラブルを避けるための通帳の正しい対応をご紹介します。
遺産相続が終わるまでは保管しておく
遺産相続の際に相続税申告が必要な場合は、過去の通帳を提出しなくてはいけません。
過去の通帳には、繰り越しした通帳が含まれます。
遺産相続の手続きの際は、少なくとも、相続が発生する前の「過去3年分の預貯金」の情報が必要です。(※1)
場合によっては、5年以上前の古い通帳も必要となるケースも。
トラブルを防ぐためにも、古い通帳は自己判断で処分せず、大切に保管しておきましょう。
1)相続サポートセンター 相続税申告では何年分の通帳が必要?提出が求められる理由とは
預貯金の確認を行う
「通帳を確認したら、残高が0円と記載されていたから大丈夫!」と、安心してはいけません。
故人の通帳に0円と記載されていても、預貯金が残っている可能性があります。
たとえば、通帳の記帳日を確認し、日付がかなり古い場合に考えられるのは、記帳漏れのケースです。
古い通帳を処分する前に銀行で記帳をし、預貯金の確認をしましょう。
長年に渡り記帳がされていない場合は、引き出し額と入金額がまとめられた状態で記帳されるかもしれません。
ネット銀行によるトラブルも多発
また、ネット銀行などの利用で通帳が手元に存在しないケースもあるでしょう。
近年は、ネット上で管理された遺品に関するトラブルが多発。
デジタル遺品サポートサービスに寄せられる相談件数は、2016年7月以降から年々増加傾向にあります。(※2)
デジタル遺品にはネット銀行も含まれ、遺族が把握しにくいのが難点です。
ネット銀行の預貯金を把握したい場合は、スマートフォン内の金融機関アプリやネットバンキングにアクセスし確認しましょう。
遺族対応が可能な金融機関もあるため、困った際は各金融機関に問い合わせも検討してみてください。
ただし、店舗窓口を設けていないネット銀行も多いため、対象の金融機関のサポート電話などに問い合わせるのがおすすめです。
2)PCホスピタルby日本PCサービス デジタル遺品サポートサービス
休眠預金が見つかるケースもある
休眠預金とは、「2009年以降に10年以上取引が行なわれていない口座」を指します。(※3)
休眠預金に該当するのは普通預金だけではなく、定期預金や貯金なども対象です。
遺品整理の際は、故人の休眠預金がないかをしっかりと確認しましょう。
故人の口座は亡くなったあと凍結されるため、休眠口座が見つかっても故人以外での金銭の引き出しがすぐにはできません。
しかし、手続き後に遺族が相続人となれば、故人の口座から金銭の引き出しが可能となります。(※4)
休眠年数により手数料が発生するなど各金融機関で手続き方法が異なるため、対象の金融機関に問い合わせをしてください。
古い通帳は、自己判断で処分するのではなく、「遺産相続が終わり預貯金や休眠預金の確認が終わってから」処分しましょう。
不要になった古い通帳の処分方法
古い通帳の処分で重要なのは、ポイントを押さえた処分方法です。
不要な古い通帳の正しい処分方法をご紹介します!
可燃ゴミで処分できる
基本的に、通帳は可燃ゴミで処分が可能です。
不要になった古い通帳は、盗難などのリスクを避けた処分を徹底しましょう。
とくにゴミ置き場では、ゴミの中身を誰かに見られる危険性が大。
通帳の入ったゴミは、当日の朝に出すなどしゴミの放置時間を短縮すると、個人情報を悪用される可能性を避けられます。
自宅周辺の自己搬入可能なゴミ収集場を利用するのもおすすめです。
ゴミ収集場での処分はゴミが人目に触れにくく、より個人情報が流出する可能性を下げられるでしょう。
ただし、ゴミの自己搬入は、場所により処分に手数料がかかるため、各施設の情報をチェックしてからゴミを出してください。
可燃ゴミに出す際の通帳の取り扱い
古い通帳を可燃ゴミに出す際に必要な作業は、以下のとおりです。
- 黒塗りする
- シュレッダーをかける
- ハサミで切る
通帳は可燃ゴミに出せますが、そのままの状態で捨ててはいけません。
通帳には、多くの個人情報が記載されています。
個人情報が漏れると、悪意を持った第三者によって悪用されるケースも。
通帳を捨てる際は、大切な情報箇所を黒のマジックで塗りつぶし、個人情報の流出を避けましょう。
通帳に記載された塗りつぶしが必要な個人情報は、主に以下のとおりです。
- 住所
- 氏名
- 届出番号
- 届出印
- 磁気テープ
黒塗りをした通帳は、ページを1枚ずつ引っ張りながら外してください。
そして、シュレッダーで細かく刻めば、個人情報を特定されずに済みます。
シュレッダーがない場合は、はさみを使って刻めば問題ありません。
カット幅が大きいシュレッダーでは、個人を特定されるおそれがあるため、ハサミで再度細かく切ると安心です。
黒塗りやカットをした通帳は新聞紙や袋に包む、ごみ袋を複数に分けるなど工夫して捨てましょう。
銀行では処分してくれない
古い通帳を処分したい方のなかには、「通帳は発行した金融機関で処分できるのでは」と考える方も多いのではないでしょうか。
基本的に、古い通帳は銀行で処分ができません。
銀行の窓口では、「いままでの通帳を処分したい」などの要望は受け付けていないため注意しましょう。
例外として、繰り越しの手続きを進めている直後で、手続き中の通帳であれば処分は可能です。
通帳の処分に迷ったら専門家に相談する
古い通帳の処分に悩んだ場合は、税理士や遺品整理の専門業者に相談するのがおすすめです。
税理士に相談
税理士は、相続税などお金に関する知識が豊富です。
お金に詳しい専門家に相談すれば、遺品整理でよくあるトラブルを踏まえた通帳の正しい処分方法が分かります。
トラブルを避けた通帳の処分ができ、いま捨てるべきなのか適切な判断をしてくれるでしょう。
また、相続税に詳しい税理士がいれば、相続に関する難しい手続きを任せられるのもうれしいポイントです。
遺品整理業者に相談する
遺品整理業者は遺品整理を専門に行っているため、数々の遺品の取り扱いに関するして知識があります。
さらに、業者によっては古い通帳の処分だけでなく、土地などの遺産相続の対象物に関するアドバイスを受けられる場合も。
遺品整理のさまざまなサポートをしてもらえるため、1人で遺品整理を行うよりもスムーズに進められます。
通帳の処分後に金銭トラブルを起こさないためにも、遺品整理業者や税理士に相談すると良いです。
古い通帳の処分に迷ったら、1人で悩まずプロの手を借りましょう。
古い通帳は正しいタイミングで処分しトラブルを避けよう
古い通帳は、遺産相続や預貯金、休眠預金の確認ができたら処分しても問題ありません。
処分の際は、通帳に記載された氏名や届け出番号などの個人情報をマジックで黒塗りし、シュレッダーなどで細かく処理してから可燃ゴミに出しましょう。
また、銀行では古い通帳の処分はしてもらえないので注意が必要です。
遺品整理業者や税理士に相談するなどし、正しいタイミングを見極めて古い通帳を処分しましょう。
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