国民生活センターに寄せられるトラブル件数は、年間100件以上。
「高額な追加料金が発生した」など契約時や契約後に起きたさまざまなトラブルが報告されています。
対面時の対応や見積もりなどで複数の業者を比べると、丁寧な業者を見抜ける、相場が把握できるなどでトラブルを未然に防げ良心的な業者に遺品整理の依頼が可能です。
今回は、遺品整理業者のよくあるトラブルや安心できる遺品整理業者の特徴などをご紹介します。
遺品整理業者とのトラブルは年々増えている
遺品整理業者の利用に関するトラブルは、年々増加傾向。
独立行政法人国民生活センターに寄せられた2017年の相談件数は105件を記録しています。(※1)
2013年の73件に比べると、4年間で70%ほど比率が上昇しており、今後も増加すると考えられるでしょう。(※2)
遺品整理を気持ちよく行うためにも、遺品整理業者を見極める力が必要です。
1、2)独立行政法人国民生活センター こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル-料金や作業内容に関するトラブルが発生しています-
遺品整理業者の利用でよくあるトラブルは、主に以下のとおりです。
追加請求をされる
事前に提示された見積もり金額よりも高い金額を請求されるケースもあります。
また、作業中に追加請求の説明をされ、結果的に見積もり金額よりも高くなる事例も少なくありません。
よくあるトラブルとしては、詰め放題〇〇円などと謳っているのにも関わらず、実際は倍以上の金額を請求されるなども報告されています。
遺品の窃盗や盗難にあう
業者を家に迎え入れて遺品整理を行った際、「故人の大切な貴重品や現金を盗まれた」などのトラブルがあります。
故人が溜めていたへそくりなどは遺族が把握していないため、盗まれる可能性も考えられるでしょう。
また、現金だけでなく貴金属などが盗まれる例もあります。
設備や室内の破損がある
遺品整理の対象物件がマンションの場合、遺品の搬出などで設備が破損されるケース。
共有物に傷が付くと、退去の際にマンションの管理会社から追加で支払いを請求されるなどトラブルに発展するため注意が必要です。
遺品を不当に回収される
残して欲しいと伝えたにもかかわらず回収され捨てられる、ゴミの運搬処理許可を持たない遺品整理業者によって山や海などに不法投棄されるなどがあります。
違法な廃棄物の処理は、業者だけではなく依頼者にも罪が着せられる行為です。
近隣トラブルが起きる
遺品整理時の無断駐車や騒音などは、近隣住民から苦情を受ける可能性があります。
近隣への配慮として、マンションで遺品整理業者を利用する際は管理組合への連絡、戸建ての場合は近隣への挨拶などをするのが一般的です。
上記の配慮がない業者との契約は、近隣トラブルを招くおそれがあります。
無料回収で依頼して高額請求される
「無料」の言葉を巧みに操り勧誘し、実際は無料ではなく契約後高額の請求をされるケースです。
遺品整理を完了してしまい、支払わざるを得なかったなどのトラブルもあるため注意しましょう。
トラブルになりやすい遺品整理業者の特徴
トラブルになりやすい遺品整理業者の特徴は、主に以下の5つです。
- 無料回収を謳う
- ホームページがなく情報が少ない
- 煽る業者に注意
- 料金が安い
- 見積書がないor内訳の記載がない
ゴミの処理にはお金がかかるため、「無料で回収」と謳う業者は注意しましょう。
また、良心的な遺品整理業者は、利用者に有益な情報を細かく提示します。
しかし、怪しい業者は、ホームページで事業内容の詳細やスタッフの写真を提示しない場合も少なくありません。
また、「最安値」などの極端な記載をしていたり、「今日決めてくれたら安くする」などの煽り文句を使ったりする業者は注意しましょう。
遺品整理業者が契約前の見積もりを細かく記載するのは、契約後のトラブルを防ぐ、ユーザーが納得のいく状態で遺品整理に同意してほしいなどが理由です。
しかし、遺品整理業者のなかには見積書がなく口約束の業者や、内訳の記載がなく「一式」などと表記をする業者もいます。
上記に当てはまる遺品整理業者は、ユーザーファーストでなく問題を抱えた悪質業者の可能性があるでしょう。
安心して契約できる遺品整理業者の特徴3選
トラブルになりやすい業者のポイントを踏まえた上で、安心して契約できる遺品整理業者の特徴をご紹介します。
①ホームページで顔出しをしている業者
自社のサービスに自信がある遺品整理業者は、ホームページ上で顔出しをしている場合が多いです。
逆に、怪しい業者は文字だけの説明や代表者の名前がないなどの場合もあります。
実際に依頼する前にホームページやSNSなどを確認することも方法の一つです。
②訪問してから見積もりを出す業者
良心的な遺品整理業者は、見積もりを出す際に現地に出向いて細かく調べます。
遺品の量や手間により、金額が大きく異なるためです。
また、細かな見積もりで必要な物品と不必要な物品を見分けられるなどの利点もあります。
➂やりとりが丁寧な業者
依頼時のメールや電話、直接対面した際のやりとりをチェックしましょう。
訪問時のスタッフの服装や言葉遣いなども大切なポイントです。
利用者の気持ちを上手に汲み取り、細かな質問にも丁寧に明確に答えてくれる業者は、安心して契約できると言えます。
④見積書・同意書を出してくれる業者
契約前に見積書や同意書を出してもらえば、詳細を確認でき記載内容と実際の請求で異なる点を比較できます。
口約束で済ませる業者も多いため、書面でしっかりと残してくれる業者は安心できるでしょう。
契約時に記載内容をしっかりと説明してくれる業者を選ぶとより安心です。
遺品整理業者とのトラブル回避のポイント
遺品整理業者を決める際に気をつけるポイントを5つご紹介します。
➀ホームページをチェックする
会社の所在地はもちろん、代表の名前や写真が掲載されているかなどを確認しましょう。
また、一般廃棄物収集運搬許可の保持があるか、許可を持たない場合は、許可を持った業者と提携しているかどうかも確認するのが良いです。
ホームページに記載されているので、チェックしておきましょう!
②複数の業者から見積もりをもらう
1社の見積もりだけでは悪徳業者かを見抜くのは難しく、遺品整理の相場を知らないと、高額請求されていると気がつかずに支払ってしまうおそれがあります。
また、見積もりを取る際に、料金だけでなくスタッフの対応も確認できるでしょう。
➂追加やキャンセル料金などを確認する
見積もりで出された金額のみ確認し安さだけで業者を選ぶと、後日交通費や運搬費など予想外の追加料金を取られる場合があります。
また、キャンセルする際も金銭を請求される可能性もあるため、事前に把握しておくと安心です。
➃契約時は「契約書・同意書」を交わす
契約時は作業内容や費用、解約やトラブル時の補償など隅々まで確認し、納得した上で契約しましょう。
契約後にトラブルが発生しても、契約書や同意書があれば規約に関して細かく記載されているため心強いです。
⑤貴重品は依頼側で保管しておく
高額な遺品や通帳、印鑑など大切な遺品は、遺品整理前に確認し整理しておきましょう。
大切な遺品は1つの場所に集め、運び出すのが難しい遺品は、付箋やメモを貼るなど目印しるしを付けておくと良いです。
貴重品などはできるだけご依頼者様の方で保管されることをおすすめします。
遺品整理でトラブルに巻き込まれた際の対応
遺品整理業者を契約する前に以下の点を把握しておけば落ちついて対応できます。
8日以内であればクーリングオフができる
利用者が契約した遺品整理サービスが「特定商取引法の訪問販売」に該当する場合は、クーリングオフ制度の利用が可能です。
上記に該当し、「契約書面を受け取った日から8日以内(※3)」であれば無条件で制度が適応されるでしょう。
ただし、訪問販売に該当するか判断が難しいケースもあるため、注意が必要です。
誰かに相談するのも一つの手
遺品整理のトラブルで困った際におすすめな機関は、以下のとおりです。
- 国民生活センター
- 遺品整理不正防止情報センター
- 弁護士
- 警察
国民生活センターは、消費生活全般のトラブルや被害に関して相談する窓口です。
消費者ホットライン「188(局番なし)」で無料ですぐに相談可能です。
ただし、消費者相談センターへつながった時点で料金が発生するため注意しましょう。(※4)
遺品整理不正防止情報センターは、主に以下のトラブルに関して相談を受け付けています。(※5)
- 遺品整理業者の不正行為
- 不当回収、売却
- 高額請求などのトラブル、問題
- 不法投棄 など
遺品整理認定協会が運営するため、トラブルに関する情報が豊富です。
国民生活センターなどで解決するのが難しいトラブルは、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
強引な契約の勧誘や業者の振る舞いに危険を感じた場合は、110番に通報し警察に相談してください。
遺品整理業者の対応に疑問を感じたら1人で抱え込まず、トラブルの対処に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。
4)国民生活センター 消費生活相談は「188」へ!
5)遺品整理不正防止情報センター 遺品整理に関するトラブル・苦情からご遺族をお守りいたします!
怪しい遺品整理業者を見極めてトラブルを避けよう[結びの章]
不誠実な業者の利用は、契約時や契約後にさまざまなトラブルを招くおそれがあります。
対面時の対応や見積もりなどで複数の業者を比べると、丁寧な業者を見抜け相場が把握できるでしょう。
トラブルを未然に防げるのも嬉しいポイントです。
遺品整理業者を見極めて気持ちよく遺品整理をし、故人を送り出しましょう。
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