「亡くなった親の車の名義変更はいつまでにすればいい?」
車の所有者が亡くなった場合、その車の名義を変更する必要があります。
名義変更の手続きは、道路運送車両法第13条で15日以内と定められています。
名義変更の手続きを行わなかった場合、車の売却や破棄ができないなどのデメリットが生じるでしょう。
今回は、相続手続きと名義変更の具体的な方法、必要な書類、注意点などを詳しく解説します。
名義変更を行うタイミング
車の名義変更は、道路運送車両法第13条に基づき、相続人は所有者が亡くなってから15日以内に名義変更を行う必要があります。
第十三条 新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。
道路運送車両法(第13条)
車の所有者が亡くなり、遺産分割協議を経て、正式に相続人が決まったら、相続人は速やかに名義変更の手続きを行わなければなりません。
名義変更の手続きをしないとどうなる?
名義変更の手続きを行わない場合、法律違反となり、50万円以下の罰金の可能性があります。
また、罰金以外に起こり得るデメリットは下記のとおりです。
- 自動車税が故人宛に届く
- 任意保険の加入が難しい
- 破棄や売却ができなくなる
名義変更の手続きを実施しない場合、車の所有者が故人のままとなります。
車検など様々な手続きに影響を及ぼすでしょう。
車の名義変更を行う流れ
車の所有者が亡くなった後、名義変更を行う手順を見ていきましょう。
今回は、普通車の名義変更を行う流れを例に解説します。
①車の所有者を確認する
まずは自動車検査証を確認し、車の所有者を調べましょう。
故人が乗っていたからといって、故人のものとは限りません。
自動車検査証に故人の名前が載っている場合は、そのまま手続きを進めましょう。
故人の名前以外(ディーラーやローン会社、法人)の場合は、記載されている会社に連絡をして確認してください。
②名義変更に必要な書類を揃える
名義変更の手続きで必要な書類は下記のとおりです。
- 自動車検査証(車検証)の原本
- 戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書(発行から3ヶ月以内)
- 車庫証明書(40日以内のもの)
以下は相続人によって必要な書類が異なります。
①相続人全員が手続きを行う場合
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 相続人全員の実印
- 新所有者以外の譲渡証明書
②遺産分割協議によって新しい所有者となる相続人が手続きを行う場合
- 遺産分割協議書
- 新所有者となる相続人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 新所有者となる相続人の実印
- 相続人全員の譲渡証明書
③相続と名義変更の手続きを行う
必要な書類を準備し、運輸局または運輸支局や軽自動車検査協会に提出します。
車を使用する地域の運輸支局で手続きが必要なため、管轄地域を調べておきましょう。
- 普通自動車:運輸支局で手続きを行う
- 軽自動車:軽自動車検査協会で手続きを行う
提出先の詳細や手続きの流れについては、各自治体の公式サイトで確認することが重要です。
④新しい車検証を受け取る
提出した書類に不備がなければ、新しい車検証を受け取れます。
交付された車検証の内容ミスがないか、確認しておきましょう。
⑤自動車税などの申告を行う
名義変更の手続きが完了したら、運輸支局内にある自動車税事務所に名義変更の申告を行いましょう。
車の名義変更の手続きと自動車税の手続きは別になるため、忘れないように申告してください。
名義変更にかかる費用と時間
手続きにかかる費用は、印紙代や車庫証明の発行費用などが含まれます。
名義変更の手続きを自分で行う場合
自分で名義変更を行った場合の主な費用は、5,000円前後です。
主な内訳は下記のとおりです。
- 移転登録手数料(印紙代):約500円
- 車庫証明書取得費用:約2000円
- ナンバープレート代(車の管轄地域が変わる場合):約1,500円
- 戸籍謄本:約500円
その他、印鑑証明書などが必要な場合もあります。
軽自動車の場合は簡易的に名義変更が可能
相続で名義変更を行う車が軽自動車の場合は、手続きの流れが一部異なります。
軽自動車については、軽自動車検査協会に書類を提出して手続きを行います。
軽自動車の場合は、遺産分割協議書などの添付が不要です。
軽自動車の名義変更に必要な書類
軽自動車の名義変更に必要な書類は下記のとおりです。
- 車検証(原本)
- ナンバープレート
- 軽自動車を相続した人の住民票または印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 戸籍謄本や法廷相続情報一覧図など、所有者の死亡が確認できる書類や相続人であることが確認できるものが必要
- 自動車検査証変更記録申請書
軽自動車の名義変更の詳細は、下記のサイトからもご確認いただけます。
名義変更の手続きを代行に依頼する場合
名義変更の手続きは自動車販売店や行政書士などに依頼することも可能です。
手続きの代行を依頼する場合は、代行費用もかかります。
また、代行の場合は、別途必要となる書類もあるため、依頼の際に確認しておきましょう。
相続手続きで起こりうるトラブル
故人の車を相続し名義変更を行う場合は、相続人全員に車を相続することを伝えて了承を得ておきましょう。
他の相続人の了承を得ずに名義変更の手続きを行うとトラブルの原因になります。
名義変更手続きは期日内に実施しよう
今回は、相続手続きと名義変更の具体的な方法、必要な書類、注意点などを詳しく解説しました。
相続による車の名義変更の期日は、法律で15日以内と決まっています。
名義変更を行わない場合は、50万円以下の罰金以外に、破棄や売却ができないなどのデメリットも大きいです。
また、相続人と遺産分割協議を行い、了承を得た上で手続きを行うこともトラブルを防ぐ方法です。
名義変更の手続きは、自動車販売店や行政書士に代行の依頼ができるため、スムーズに進めたい場合はプロに相談しましょう。
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