認知症は年齢を重ねるごとに発症率が増加すると言われています。
認知症の特徴は物忘れが多くなったり、判断力や集中力の低下などがあります。
家の掃除も1つで、認知症の方は掃除が出来ずに散らかってしまうケースが多いです。
たとえば、ゴミを出す日を忘れてしまったり、意欲低下により掃除ができず、散らかってしまうなどがあります。
今回の記事は、認知症の方の掃除が出来ない理由やサポート方法などを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
認知症とは
認知症とは、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態を言います。
日本での65歳以上の認知症を有している方は2020年に602万人でしたが、2025年には675万人(有病率18.5%)が認知症になると予測されています。
有病率18.5%は、5.4人に1人が認知症になる計算です。
【参照】厚生労働省 「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」
高齢の家族が周りにいる方で、認知症かなと思ったら、以下の初期症状をチェックしてみましょう。
- 同じ話を何度もしたり、尋ねる
- ニュースなど周りへの関心が乏しい
- 怒りっぽくなったり、疑い深くなった
- お金の管理ができない
- 物の置き忘れが増え、捜し物をする
- 以前はできた家事、買い物に手間取る
次で6項目を詳しく説明します。
項目のなかで、認知症の方が掃除ができない理由も紹介しているので、参考にしてみてください。
同じ話を何度もしたり、尋ねる
認知症による「記憶障害」の1つです。
物忘れは健常者でも時々ありますが、認知症と物忘れでは根本的な部分で違います。
加齢による物忘れは「記憶を思い出す能力が衰える」のに対し、認知症では「物事の記憶自体が難しくなる」特徴があります。
たとえば、人と約束をした際に約束は覚えているが、時間や場所など詳しい内容を忘れてしまうのが加齢による物忘れです。
対して認知症の場合は、約束自体を忘れてしまい、本人にも自覚がありません。
家の掃除に置き換えると、処分したものを忘れたり、掃除する日を忘れてしまい掃除が進まないケースがあります。
ニュースなど周りへの関心が乏しい
周囲への関心が乏しくなる「意欲低下」は認知症の特徴です。
脳の機能低下により、意欲も低下するために起こります。
たとえば、毎日新聞のニュースを読んでいた方が認知症になり、新聞すら読まなくなり溜まっているなどです。
周りへの関心が乏しいと、家が汚い現実にも関心がなくなる可能性があります。
怒りっぽくなったり、疑い深くなった
認知症により、理性的な行動をしたり、感情を抑えるのが難しくなるため、怒りっぽかったり、疑い深くなります。
もう1つ、認知症の症状によって物事が上手くできず、感情的になっているかもしれません。
たとえば記憶障害によって、財布などの置き場所がわからなくなると不安感が増し、疑い深くなるなどです。
掃除では物がどこに行ったか分からなくなり、「息子が貴重品を失くしてしまった」など掃除が進まないケースがあります。
お金の管理ができない
「お金の管理ができない」は、認知症の「実行機能障害」の1つです。
実行機能障害は、物事を順序立てて考えたり、実践できない特徴があります。
お金の収支を考えずに買い物したり、悪質なセールスから不要そうな物を購入するなどです。
また、財布をなくしがちになると不安になり「物盗られ妄想」と呼ばれる、誰かが盗んだと思い込む特徴も出てきます。
家の掃除においては、貴重品を整理したら「家族に盗まれた」などトラブルにも繋がりかねません。
物の置き忘れが増え、捜し物をする
1つ目の「同じ話をする」項目と同じで、物を持ったは良いもの、何をするのか忘れてしまう回数が多くなります。
物の散乱は本人が混乱してしまった証拠であり、認知症の可能性があるかもしれません。
以前はできた家事、買い物に手間取る
家事や買い物は順序立てて行わないとできないので、家の掃除ができない大きな理由になります。
実際、物が散らかり何から手を付けて良いか分からず、意欲低下も相まって部屋が散らかる原因になっているケースもあります。
認知症で掃除ができなくなると起こるリスク
認知症の影響で、掃除ができなくなると起こるリスクは4つです。
- 火災
- 転倒や転落
- 病気や感染症
- 貴重品や書類類の紛失
以上の4つを詳しく説明していきます。
火災
たまった埃がコンセントにもかぶさって引火をしたために火災になったり、ゴミがたくさんあるために家中に燃え広がってしまう可能性もあります。
たとえ火災に気づいても、足の踏み場がないと、逃げ遅れてしまうかもしれません。
転倒や転落
高齢者は、筋力低下により平坦な床でもバランスを崩し、転倒する可能性があります。
さらに部屋が散らかっていると、足元に物が多いために転倒や転倒のリスクは格段に増してしまうでしょう。
病気や感染症
ゴミの放置などによる不衛生極な環境は、病気や感染症を引き起こしやすくなります。
カビの生えた物などを食べてしまうかもしれません。
そして病気になっても、認知症の影響で病気に気付かなかったり、気力の低下から面倒に思って病院を受診しない可能性も出てきます。
貴重品や書類類の紛失
掃除ができないと、貴重品や大切な書類が見つからず、掃除が進まない可能性が高いです。
大切な書類とは主に以下の5つです。
- 身分証
- 通帳
- 印鑑
- 年金手帳
- 賃貸契約書や不動産関係の書類など
掃除以外にも、重要な書類を紛失すると、必要な手続きが円滑に進まなくなるかもしれません。
上記のようにならないために、認知症の方の掃除には周囲のサポートが必要です。
認知症は周囲のサポートが大切
認知症の方と一緒に掃除する際は、単発ではなく、長期的なサポートが大切になります。
具体的には以下の3つです。
- 掃除しないリスクと掃除の目的を話す
- 本人の執着するポイントを探る
- 一箇所から片付ける
次で詳しく説明していきます。
掃除しないリスクと掃除の目的を話す
認知症の影響で「なぜ家の片付けを押し付けられるのだろう?」と問題を理解できていないかもしれません。
部屋を片付ける目的の例を2つ挙げてみます。
- 高齢化した体の「安全の確保」
- 高齢化した体でも使いやすい家にする
「安全確保」は家を綺麗にする大きな理由になります。
物が散乱した部屋で転倒してから、骨折し寝たきりのケースは珍しくないからです。
そして、「安全に気持ちよく暮らすために部屋の片付けをする」と、納得して進められると良いでしょう。
本人の執着するポイントを探る
認知症による物盗られ妄想や、家の「こだわり」や「ルール」がある場合、本人が執着するポイントを見定めて掃除する必要があります。
具体的には、以下の3つです。
- 大切なところは一緒に片付ける
- 「よく見える収納」にする
- 「見えない場所」にしまいこまない
次で3つの項目を詳しく説明します。
大切なところは一緒に片付ける
たとえば洋服、貴金属類、現金類がある場所は、できる限り本人と一緒に片付けましょう。
貴金属や現金は、物取られ妄想につながる可能性があるため、一緒に片付ければトラブルを回避できるかもしれません。
「よく見える収納」にする
ご本人が大切にしているもの、こだわっているものほど、すぐに確認できるように収納しましょう。
たとえば、透明の保管ボックスにすれば、外側からでも物があると分かります。
また、ラベルや絵、写真などを収納箱につけて、中身が把握しやすくする工夫も良いでしょう。
「見えない場所」にしまいこまない
ご本人が大切にしている物を遠い場所に収納しないようにしましょう。
たとえば、高齢者が足を運びにくい2階にすべて運んでしまうと「物がなくなった」と不安が強くなるかもしれません。
できる限り、本人の生活の動線内に収納しましょう。
一箇所から片付ける
いきなり全部の部屋を片付けようとすると、本人や一緒に片付ける人の負担になります。
狭いスペースから始めれば、掃除のゴールが見えやすいため達成感を感じやすいです。
また、実際片付けられたら、動きやすく見た目も明るくなったと感じるかもしれません。
「片付いた=快適だ」と体感できると、「他の部屋を片付けても良い」と感じる原動力になります。
掃除が大変な時は業者に依頼を
掃除するスペースが多かったり、処分するものが多い場合、自分達だけでは掃除が難しいケースもあるでしょう。
遺品整理業者は、生前整理を行なっている業者もあるため、掃除が大変な時は業者に依頼するのも1つです。
弊社では生前整理のサービスも行なっているので、ぜひご相談ください。
不用品の片付けや買取り、物の仕分け作業などを行なっているので、ご家族に合わせたサービスを提供させていただきます。
認知症の方の掃除は周りのサポートで解決
認知症は年齢とともに発症率が上がり、出てくる症状も人により違います。
認知症の疑いや認知症と診断された場合、早めに身の回りの整理や掃除をサポートしていきましょう。
一緒に掃除を行おうと思っている方は、今回紹介した方法を参考にしてみてください。
自分達だけでは掃除が大変な場合は、業者への依頼も検討してみましょう。
コメント