孤独死の定義とは?一人暮らしの高齢者のリスクと対策

近年、日本の高齢化社会において「孤独死」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。

孤独死とは、一般的には「誰にも看取られず、一人で亡くなること」です。

また、亡くなった後に発見が遅れ、死後しばらくしてから遺体が発見される場合もあります。

高齢者の孤独死は単なる個人的な悲劇に留まらず、社会全体の課題として注目されています。

この記事では、孤独死の定義からそのリスク要因、具体的な対策までを詳しく解説します。

目次

孤独死の定義とは

孤独死の定義は地域や自治体によって異なることがありますが、一般的には以下のように理解されています。

  • 死後一定期間発見されなかった死: 死後数日から数週間経過してから発見されるケースが多いです。
  • 一人暮らしで看取られることなく亡くなった場合: 特に高齢者が一人暮らしをしている場合、孤独死のリスクが高まります。

内閣府、国土交通省の定義は下記のとおりです。

「誰にも看取られることなく亡くなったあとに発見される死」

引用:内閣府「平成27年度版高齢者白書」

「異状死のうち、自宅で亡くなられた一人暮らしの人

引用:国土交通省「(参考)死因別統計データ」

孤独死の実態と統計

日本では、年々孤独死が増加傾向にあります。

画像出典:東京都監察医務院「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和2年)

東京都監察医務院が公表している自宅住居で亡くなった単身世帯の統計(令和2年)によると、東京23区内における1人暮らしで65歳以上の死亡者の割合が増加しています。

男女比では、男性に多い傾向にあります。

また、死亡後に発見されるまでの平均日数は下記のとおりです。

画像出典:東京都監察医務院「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和2年)

死亡後2〜3日で発見されるケースが多いですが、長ければ半年以上経過して発見される場合もあります。

なぜ孤独死が起こるのか?

孤独死が起こる原因として、以下のようなことが考えられます。

  • 高齢者の一人暮らしの増加: 家族からの距離が遠く、日常的な支援を受けにくい場合。
  • 社会的孤立とセルフネグレクト: 地域コミュニティとの関わりが少なく、自身の健康管理や生活管理が疎かになる。
  • 健康問題や経済的困難: 慢性的な病気や経済的な問題があると、支援を求めにくくなる 。

65歳以上の単身世帯の増加

内閣府が発表した令和5年版高齢社会白書によると、65歳以上の一人暮らし世帯が増加傾向にあります。

画像引用元:令和5年版高齢社会白書

昭和55年には65歳以上のうち男女の人口に占める割合では、男性4.3%、女性11.2%でしたが、令和2年には男性15.0%、女性22.1%と約2倍以上も増加しています。

核家族化の増加により、高齢者の単身世帯も増え、家族からの日常的な支援が受けにくい状況に陥っていることが考えられるでしょう。

社会的孤立に陥りやすい高齢者の特徴

家族との関わりが少なく、近所付き合いなどもないと、社会的な孤立により孤独死のリスクが高まります。

社会的孤立に陥りやすい高齢者の特徴は下記のとおりです。

  • 男性の一人暮らし
  • 健康状態が良くない人
  • 経済的に困窮している人

総務省が発表している「高齢者の社会的孤立の防止対策等に関する行政評価・監視 第2 行政評価・監視結果」のレポートによると、「近隣との付き合いがほとんどない」「日常会話が少ない」人の割合は、女性の一人暮らしに比べて男性の一人暮らしの方が多いことが分かっています。

女性よりも男性の方が、社会的孤立に陥りやすい傾向があります。

孤独死によって起こる問題

孤独死は家族や親族だけでなく、賃貸管理者や周辺住民への影響なども考えられます。

家族や親族への影響

孤独死を知った家族や親族の精神的なショックも大きいでしょう。

また、孤独死は遺体の腐敗が進んでいるケースも多く、家族が第一発見者であった場合、トラウマやPTSDなどを発症する場合も考えられます。

「看取れなかったこと」や「一人で亡くなってしまったこと」など、故人に対する罪悪感や責任感に苦しむ方も少なくありません。

経済的な負担

孤独死の状況によっては特殊清掃などが必要なケースもあります。

故人が賃貸住宅に住んでいた場合、通常の遺品整理や原状回復だけでなく、特殊清掃などの費用も必要になることが少なくありません。

周辺住民への影響

遺体の状況によっては腐敗が進み、臭いが発生する場合があります。

特に夏場は気温も高く、腐敗の進行も早まり、死後数日で死臭が発生します。

さらに腐敗が進むと死臭が強まり、部屋から漏れ出し、周辺住民からのクレームになるでしょう。

また、臭いだけでなく、腐敗した遺体に虫が湧き、周辺住民の迷惑になることも考えられます。

孤独死を防ぐための対策

高齢者の孤独死を防ぐためには、個人、家族、地域社会が協力して対策を行う必要があります。

自ら対処できる対策

自ら対処できる方法としては、下記の方法があります。

  • 定期的な健康診断や運動習慣を身につける
  • 趣味やサークル活動を通じて社会的なつながりを維持する
  • 近所との交流を持つ
  • 訪問サービスや通所サービスを利用する
  • 食事の宅配サービスを利用する

一番は家族や親族など同居すれば孤独死を防げますが、家族関係などから実現が難しい人も少なくありません。

訪問サービスや通所サービスを利用することで、死後の発見が遅れるリスクを軽減できます。

家族や親族ができる対策

家族や親族ができる対策としては、下記の方法があります。

  • 定期的に連絡を取り、訪問することで関わりを維持する
  • 見守りサービスを利用して、遠方に住む家族の状況を把握する
  • 見守りカメラを設置して様子を見る
  • 近隣住民に協力をお願いし、異常があった場合に連絡をもらえるようにする
  • 家の中の安全を確保し、転倒・転落のリスクを減らす
  • 介護サービスを利用し、必要なサポートを受けられるように環境を整える

定期的な連絡も状況把握のために有効ですが、物理的な距離がある場合は、見守りサービスや介護サービスなどを利用する方法があります。

要介護認定を受け、自宅での生活が難しい場合は、高齢者施設への入居も孤独死を予防する対策です。

地域社会や行政の取り組み

孤独死への対策として、地方自治体によって様々な取り組みが行われています。

  • 見守りスタッフを配置して、地域内での見守りを強化
  • ガスや新聞、水道などの事業者と提携し、異常時に連絡や支援体制の確保
  • 地域の集まりやイベントを通して、高齢者が孤立しないような取り組みを実施
  • 高齢者の方の相談窓口の設置と対応など

取り組みの内容は自治体によって異なりますが、孤独死への対策が行われています。

高齢者単身世帯の家族がいる方は、自治体の窓口に相談する方法も選択肢の一つです。

孤独死を発見した時の対処法

孤独死を発見した場合、適切な対応を取ることが重要です。

①すぐに警察(110番)や救急(119番)に連絡する

家族の住む自宅周辺で異臭などの異変を感じた場合は、すぐに警察(110番)に連絡しましょう

亡くなっているかが判断できない場合は、救急車を要請します。

明らかに亡くなっていると判断できる場合は、警察に連絡をしてください。

警察が到着するまでは現場を動かさず、発見時の状態を保ちましょう。

②警察による現場検証の実施

警察が到着後、現場検証が行われます。

自宅内で亡くなっている場合、病死や事故死以外に他殺などの可能性もあるため、現場検証が終わるまでは立ち入りができません。

故人の貴重品なども捜査が終わるまで一時的に没収されます。

第一発見者が家族や親族以外の場合は、遺体の身元の確認が取れた後、警察から遺族に連絡が入ります。

③遺体の引き取り

警察による現場検証が完了し、事件性がないと判断された後、遺族に連絡が入り、遺体の引き取りの流れになります。

遺体の引き取り後、死亡届などの手続きを行います。

遺族の確認が取れない場合や遺体の引き取りを拒否された場合は、法律に則って自治体が火葬を行うことになります。

高齢者による孤独死を防ぐために

単身世帯の高齢者も増え、孤独死で発見されるケースも少なくありません

亡くなってから発見が遅れると、腐敗が進み悪臭や虫による被害が大きくなり、周辺住民に迷惑をかける可能性も考えられます。

高齢者の孤独死を防ぐためには、家族間での連絡のやり取りや介護サービスの利用など、人との関わりを増やす取り組みを行うことが重要です。

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この記事を書いた人

終活図書館編集部/思い出コンサルタント®︎
関西を中心に生前・遺品整理事業サービスを提供する株式会社カラーリスタを中心に、終活や保険のプロがさまざまな情報を発信しています。
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