「冬はヒートショックに注意が必要」などと聞いたことがあるかもしれません。
ヒートショックとは、急激な体温変化によって身体が適応できず、血管や心臓に大きな負担がかかる状態です。
特に冬場は自宅の中の寒暖差の大きい場所で事故に発展することも少なくありません。
死亡事故につながるケースもあるため、高齢者が生活する家庭では注意が必要です。
今回は、高齢者に多いヒートショックの原因や予防法、家族ができることについて解説します!
ヒートショックとは
ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧の上下差が大きく変動することで、心筋梗塞や脳卒中などの血管や心臓の病気を引き起こす状態を指します。
特に冬場に発生しやすいと言われており、暖かい部屋から寒い浴室に移動した際に急激な血圧の変化が生じ、最悪の場合、死にいたる場合もあります。
ヒートショックが高齢者に多い理由
高齢者は加齢により体温調整機能が衰え、外部の温度変化に対する適応能力が低下しています。
また、血圧の調整機能も弱まっているため、温度変化による血圧の急激な変動に適応できず、ヒートショックを起こしやすいのです。
ご本人が気づく前にヒートショックを起こし、亡くなってしまうケースも少なくありません。
また、高齢者には暖房設備が不十分な環境で生活を送る方も多く、これがヒートショックを高める要因となっています。
ヒートショックを起こしやすい高齢者の特徴
元気に過ごす高齢者も多いですが、健康な成人と比較して、急激な血圧変化や体温維持機能も低下しているため、注意が必要です。
特に注意が必要なヒートショックを起こしやすい高齢者の特徴は、下記の通りです。
基礎疾患を持つ高齢者
糖尿病、高血圧症、心臓病などの基礎疾患を持つ高齢者は、体温調節機能や血圧調節機能がさらに弱まっていることが多いため、ヒートショックを起こしやすくなります。
独居や社会的に孤立している高齢者
一人暮らしの高齢者や、家族や地域社会とのつながりが少ない高齢者は、万が一ヒートショックを起こしたときに迅速な発見・対応が難しいため、リスクが高まります。
日常生活による運動不足
定期的な運動習慣のない高齢者は、血行不良により体温調節能力が低下し、ヒートショックを起こしやすくなります。
栄養状態の不足
栄養不足は、体の抵抗力を低下させるため、ヒートショックを起こしやすくなります。
特に、ビタミンやミネラルの不足は、体温調節機能に影響を及ぼすでしょう。
ヒートショックの主な原因
ヒートショックは急激な温度変化に体が適応できないことで起こります。
ここでは、ヒートショックが起こる原因について解説します。
ヒートショックが起こりやすい場面
急激な温度変化が生じる場面として、以下のようなものがあります。
- 冬場の室内と室外の温度差
- 暖かい部屋から冷えた浴室への移動
- 高温のお風呂に長時間浸かる
特に家の中では、暖房の効いた居間から冷え切ったトイレ、脱衣所などの移動時に発生することも多いです。
また、高温のお風呂に長時間浸かると、血管が拡張し、血圧が急激に低下します。
急激な血圧変動によりヒートショックを引き起こすリスクが高まります。
高齢者の身体機能の低下
高齢になると外部の温度変化に対する適応能力が低下します。
このため、温度変化に対して対応を素早く調整することが難しくなり、ヒートショックのリスクが高まります。
生活環境の問題
家の間取りによる生活環境の問題も原因の一つです。
一般的には浴室やトイレに暖房設備がないため、暖房が効いた部屋と比較すると寒暖差が大きくなります。
さらに、脱衣所は服を脱ぐ場でもあるため、寒さの影響を受けやすい特徴があります。
ヒートショックの予防法
ヒートショックを予防するためには、生活環境を整えることが大切です。
室内の環境を整える
特に冬場は室内の温度を一定に保つことが重要です。
浴室やトイレ、寝室などは、急な温度変化が起こらないように暖房設備を使用することも予防になります。
健康管理
脱水状態は血圧変動のリスクを高めるため、常温の水や白湯を適宜摂取しましょう。
また、定期的に血圧測定を実施し、異常があれば医師の診察を受けることで、ヒートショックのリスク軽減につながります。
入浴時の注意点
入浴時の温度は41℃以下に設定し、長時間の浸かり過ぎを避けます。
また、入浴前の軽い運動で血行を良くする、浴室を予め暖めるなど、体への負担を減らす工夫をしましょう。
家族ができるヒートショックの予防法
独居で生活している場合は、定期的に生活環境を見守り、必要に応じて対策を行いましょう。
また、高齢者自身が予防に取り組むことが難しい場合は、家族がサポートすることも必要です。
定期的な家族の見守りが難しい場合は、介護サービスの利用も選択肢の一つです。
ヒートショックが起こったら
ヒートショックが起こった時の対処法について解説します。
浴槽の中で気を失っているのを発見した場合
浴槽のお湯に使ったまま気を失っている、ぐったりしているのを発見した場合、まず浴槽の湯を抜き、救急車を呼びましょう。
可能であれば浴槽から引き上げ、気道を確保し安静にします。
救急隊員の指示に従いながら心肺蘇生などの応急処置を行いましょう。
呼びかけて意識がない場合
トイレや脱衣所などで倒れて、呼びかけても意識がない場合は、すぐに救急車を呼んでください。
安静な場所に寝かせ、気道を確保し、救急隊員の指示に従い応急処置を行います。
意識はあるが呂律がまわらない、痛みがある場合
意識があっても呂律がまわらない、体の一部に力が入らない、頭などに痛みがある場合は、迷わず救急車を呼びましょう。
無理に動かさず安静にして救急隊員の指示に従ってください。
高齢者に多いヒートショックを予防するために
今回は、高齢者に多いヒートショックの原因や予防法、家族ができることについて解説しました。
高齢者は加齢により体温調整機能などが低下し、血圧変動に適応できず、ヒートショックを起こすリスクが高いです。
特に独居で生活する高齢者は、発見が遅れて亡くなってしまうケースもあるため、定期的な見守りなども必要です。
高齢者の特徴を理解し、生活環境を整えることが大切です。
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