人生の終わりに向けた準備、いわゆる「終活」が広く認知され、実践する人が増えています。
しかし、死後にかかる費用について具体的に把握している人は少ないのではないでしょうか?
葬儀費用、お墓・仏壇の費用、法要の費用、遺品整理費用、相続にかかる費用など、様々なコストが発生します。
死後にかかるお金には個人差がありますが、葬儀、法要、お墓・仏壇、遺品整理、相続など諸々の費用を考慮して、一般的なケースでは約200〜800万円ほどかかることが多いと言われています。
今回は、これらの費用について詳しく解説し、必要な資金をどのように準備すれば良いのかについてもご紹介します。
死後にかかる主なお金
まず、死後にかかる主な費用は以下のとおりです。
- 葬儀費用
- お墓・仏壇の費用
- 法要の費用
- 遺品整理費用
- 相続関連費用
それぞれの費用項目について詳細と、一般的な総額の目安を見ていきましょう。
①葬儀費用
葬儀の基本費用(斎場利用料、火葬料、祭壇、棺など葬儀を行うための一式)の金額は、葬儀の種類によって異なります。
葬儀には主に下記の種類があります。
- 一般葬
- 家族葬
- 1日葬
- 直葬・火葬式
株式会社鎌倉新書(いい葬儀)が実施した全国調査によると2022年の葬儀費用の総額は110.7万円でした。
葬儀の費用には、斎場の利用料や火葬場の利用料などの基本料金と飲食、返礼品などの3つに分類され、それらの合計額の総額になります。
2013年は総額平均202.9万円、2020年は総額平均184.3万円と年々減少傾向です。
また、コロナ禍の影響もあり一般葬から家族葬、1日葬が主流になっています。
僧侶へのお布施は別途必要になるので、家族葬や1日葬を希望する場合は100万円前後は準備しておく必要があるでしょう。
②お墓・仏壇の費用
お墓を建てる費用
お墓を建てる費用の平均は、約100〜125万円ほどと言われています。
また、株式会社鎌倉新書(いい葬儀)が実施した全国調査によると2020年の仏壇の購入にかかった費用は平均73万円でした。
墓地の広さや墓石の大きさなどによって費用は変動します。
お墓を建てるために必要な費用の内訳例は下記の通りです。
- 墓石代
- 外柵代
- 墓誌代
- 付属品代
- 塔婆代
- 花立
- 化粧砂利
- 彫刻代
また、墓地の使用料や墓石費用なども必要になります。
仏壇の費用
仏壇の費用は、大きさや材質などによっても価格が異なります。
一般的な種類の仏壇の費用相場例は下記のとおりです。
- 唐木仏壇:60〜110万円ほど
- 金仏壇:100〜150万円ほど
- モダン仏壇:30〜50万円ほど
- 上置き仏壇:30万円ほど
- ミニ仏壇:〜10万円ほど
宗派によって仏壇や仏具の種類なども異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、仏壇本体だけでなく仏具、絵像などは別費用の場合もあります。
③法要の費用
宗派によって異なりますが、葬儀・告別式、初七日や四十九日、一周忌などの法要があります。
お布施の金額には明確な決まりはなく、地域や宗派、儀式によって大きく変化します。
法要のお布施の金額の目安は下記のとおりです。
- 葬儀・告別式:20〜50万円
- 初七日法要:3〜5万円
- 四十九日法要:3〜5万円
- 納骨法要:1〜5万円
- 初盆:3〜5万円
- 一周忌法要:3〜5万円
- 三回忌以降:1〜5万円
あくまで目安であり、宗派によって費用は異なるため確認してください。
法要に備えるのであれば、100万円前後の費用は必要でしょう。
④遺品整理・空き家処分にかかる費用
遺品整理の費用は、家族だけで行う場合や業者に依頼する場合など状況によって異なります。
株式会社鎌倉新書(いい葬儀)が実施した全国調査によると2020年の遺品整理にかかった費用は平均47万円という結果でした。
また、持ち家や賃貸によっても必要な費用が異なります。
老朽化が進み居住が難しく、空き家を処分される方も少なくありません。
株式会社鎌倉新書(いい葬儀)が実施した全国調査によると2020年の空き家の処分費用は平均110万円でした。
空き家処分が必要な場合は、遺品整理の費用と合わせて備えておく必要があるでしょう。
⑤相続関連費用
相続手続きは、必要書類を揃えれば、全て自分でも行うことはできます。
しかし、遺言書の検認や相続放棄、相続人の調査などの場合は専門家に依頼する必要があります。
また、相続財産が複雑で相続税の計算などが分からない場合も、専門家に任せる方が良いでしょう。
株式会社鎌倉新書(いい葬儀)が実施した全国調査によると2020年の相続のために専門家に依頼した費用は平均49万円でした。
また、同上の調査では、遺言などで弁護士への依頼にかかった費用は平均69万円でした。
死後の資金と家族のためにできる準備
死後に必要なお金は、それぞれの状況によって異なりますが、生前から計画的に準備しておくと安心です。
ここでは、死後に必要なお金を計画的に準備する方法について見ていきましょう。
必要な資金を計画的に準備する方法
①貯蓄と保険の活用
定期預金や生命保険などを活用し、必要な資金を準備する方法もあります。
定期預金は元本割れのリスクも少なく、普通預金よりも高い利息が得られます。
また、生命保険は万が一に備えて家族に資金を残すための手段です。
定期保険や終身保険など、現在の生活に状況に合わせた保険を選びましょう。
定期的に保険内容を見直し、ライフステージや家庭状況に合わせて選択することが大切です。
②遺言書の作成
遺言書を作成することで、遺産分割がスムーズに進められます。
残した遺産の使い道などの意思表示をすることで、家族の負担を軽減できるでしょう。
遺言書にはいくつかの種類があり、自分で書き手軽に作成できる自筆証書遺言は形式不備により、法的に無効になるリスクがあります。
法的に効力のある遺言書を作成するためには、専門家に相談しましょう。
遺された家族がスムーズに手続きを進められる準備
遺された家族がスムーズに手続きを進めるためには、必要な書類を準備し、家族に伝えておくことが重要です。
- 遺言書
- 預金通帳、印鑑、キャッシュカード
- 保険証書
- 不動産権利書などの書類
元気なうちから家族とコミュニケーションをとり、財産や死後に関する意思表示を伝えておくことが大切です。
家族の負担を軽減するために
今回は、死後に必要なお金や必要な資金の準備方法などについてご紹介しました。
死後にかかるお金には個人差がありますが、葬儀、法要、お墓・仏壇、遺品整理、相続など諸々の費用を考慮して、一般的なケースでは約200〜800万円ほどかかることが多いと言われています。
遺された家族の負担を軽減するためには、死後に必要な資金の準備や遺言書の作成などを行なっておきましょう。
生前整理や遺言書の作成など、不明点があれば終活図書館のLINE公式でも質問を受け付けしています。
専門家がお答えしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
参考サイト:
株式会社鎌倉新書(いい葬儀)【第5回お葬式に関する全国調査】(2022年)
株式会社鎌倉新書(いい葬儀)【第4回お葬式に関する全国調査】
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