住宅ローンを組んで購入したマイホーム。
今は元気で仕事もできているから支払いの問題はないけれど、自分に何かあった場合、ローンはどうなるんだろう?
あまり考えたくはありませんが、万が一の時には家族に負担をかけたくないし、気になるところですよね。
本記事では、ローン契約者が死亡した場合、その後の住宅ローンの返済はどうなるのかを詳しく解説します。
この機会に、現在の住宅ローン内容と照らし合わせて、一度確認してみてください。
住宅ローン契約者が死亡したらどうなる?
住宅ローンの契約の際には、「団体信用生命保険」(団信)に加入するのが一般的です。
団信とは、住宅ローンの返済期間中に契約者が死亡や高度障害等で、返済が困難になってしまった際に、それ以降の債務を生命保険会社が代わりになって金融機関に返済するというものです。
例えば、契約者が交通事故で亡くなった場合、団信が適用されることで、遺族がローン返済に悩む必要はありません。
また、働き盛りで突然高度障害を負った際にも、経済的な負担を軽減する重要な仕組みです。
これにより、家族がそのまま安心してマイホームに住み続けられる大きなメリットがあります。
団信に加入しているかしていないかで、残債の支払い有無が変わってきます。
以下で詳しく見ていきましょう。
団信加入の場合
残債相当の保険金が金融機関に支払われるため、遺族は住宅ローンの返済は免除されます。
マイホームには、もちろんそのまま住み続けることが可能です。
ただし、ローン返済が滞っていた場合は、団信が失効する可能性があるので注意しましょう。
たとえば、一定期間支払いが滞った場合や団信の保険料が未納になった場合には、保険が適用されなくなることがありますので、契約条件を再確認することをおすすめします。
団信未加入の場合
住宅ローンは残ったままです。
法定相続人が債務を引き継ぎます。
この際、法定相続人は相続登記や金融機関への連絡といった手続きを進める必要があります。
そのまま家に住み続けるには、一括で残債を支払う必要がありますが、残債が多額な場合、資金調達の方法を検討する必要が出てきます。
例えば、預貯金や保険金の利用、または一部を親族間で分割して支払う方法などが挙げられます。
もし残債を支払えない場合は、以下の選択肢があります。
財産放棄
家を含めた相続財産全体を放棄します。
ただし、家以外の資産も放棄することになるので注意が必要です。
任意売却
家を売却し、その売却金で残債を返済します。
市場価格より低い価格で売却されるケースが多いため、注意が必要です。
ローンの引き継ぎ
遺族がローンを引き継ぐ場合、再審査が必要です。
審査基準を満たさない場合、引き継ぎができないこともあります。
住宅ローン契約のケース
住宅ローンといっても契約は様々。
以下では、代表的な契約ケースについて解説します。
世帯主のみが住宅ローン契約しているケース
世帯主が単独の契約者となり、ローン契約、団信加入しているケースです。
この場合、世帯主が死亡した場合は団信の保険金でローンが完済され、遺族にローンは残りません。
ただし、団信に加入していない場合は遺族が返済義務を負いますので注意が必要です。
夫婦で住宅ローン契約しているケース
夫婦で住宅ローンを組む場合も考えられます。
この場合、契約形態に応じてローン返済の状況が異なります。
夫婦ペアローン
ペアローンの場合、夫婦それぞれがローンを組み、1つの家を購入します。
そのため団信も夫婦それぞれに加入することになります。
一方が死亡した場合:死亡した人が借りたローンは団信で完済されます。
もう一方のローンはそのまま:残ったローンは引き続き返済していく必要があります。
最近では、夫婦ペアローン向けの「連生型団信」を提供する金融機関もあります。
これを利用すれば、夫婦のどちらかが死亡した場合でも債務は残らず、住宅ローンの全額が保険金で完済されます。
例えば、夫婦のどちらかが急な病気や事故で亡くなった場合でも、もう一方が経済的な心配をする必要がなく、マイホームにそのまま住み続けることができます。
また、特に収入のバランスが大きく偏っている夫婦にとって、この仕組みは家計を守る大きな支えとなるでしょう。
連帯保証
夫婦の収入を合算してローン契約するケースです。
一方が主債務者となり、もう一方が連帯保証人となります。
この場合、主債務者のみが団信に加入でき、連帯保証人は加入できません。
そのため、主債務者が死亡した場合は団信でローンが完済されますが、連帯保証人が死亡した場合はローン返済が続きます。
連帯債務
【フラット35】を夫婦合算(収入合算)で借りるケースが該当します。
例えば夫が団信に加入した場合、夫が死亡すればローンが完済されますが、妻が死亡した場合はローン返済が続きます。
借入金額が大きい場合、片方の収入だけで返済を続けるのが難しくなることもあるため、計画的な資金管理が求められます。
契約者の病気・ケガの場合はどうなる?
団信は、高度障害の場合も適用対象となります。
高度障害とは、両目の視力を全く失う、言語障害、四肢の切断や麻痺などを指します。
例えば、交通事故で両足を失った場合や、脳疾患によって言語機能を失ったケースなどが挙げられます。
適用されるまでの流れとしては、まず医師の診断書を保険会社に提出し、保険会社による審査を経て適用が決定されます。
審査期間や必要書類は保険会社ごとに異なるため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。
ただし、障害の程度や適用条件は保険会社ごとに異なります。
契約時にしっかりと確認し、不安があれば追加の補償プランを検討すると良いでしょう。
リスクに備えるためには
ローン契約時の団信加入は、契約者の死亡時のリスク回避に最も有効です。
必須でないローン契約の場合も、団信への加入を検討しましょう。
団信に加入できない場合
もし何らかの理由で団信に加入できない場合は、以下の代替策を検討してください。
団信以外の代替案を検討する際には、金融機関や保険会社に相談し、家族の生活設計や経済状況に最も適した方法を選ぶことがとても重要です。
生命保険の活用
住宅ローンの残債と同額程度の補償額が設定された生命保険を契約することで、ローン返済をカバーできます。
例えば、契約者が亡くなった場合に保険金が下り、遺族が残債を一括返済できる仕組みです。
収入保障保険の検討
遺族の生活費を補填するための収入保障保険を利用することで、ローンの返済に加え、生活費を確保できます。
特に、契約者が家庭の主要な収入源である場合に役立ちます。
ローン返済用の貯蓄
毎月一定額を専用の貯蓄口座に積み立てる方法です。
例えば、退職金やボーナスの一部を利用して計画的に貯蓄することで、緊急時に備えることができます。
家族のためにしっかりと対策を
住宅ローンは、家族の生活基盤を支える重要な要素です。
もしもの時に備えて、契約内容を見直し、必要な保障を確保しておくことが家族を守る鍵となります。
また、団信に加え、生命保険や収入保障保険といった代替策も組み合わせることで、万全の備えが可能です。
家族の負担を最小限にするためには、ローン契約時だけでなく、定期的な見直しも重要です。
この機会にぜひ、住宅ローンと保証内容を再確認してみてください。
事前の準備と定期的な確認が、安心で安定した暮らしを支える基盤となるでしょう。
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