実家が空き家に…どうすべき?知っておきたい対策ポイント

「空き家問題」という言葉を耳にしたことはありますか?

現在、日本では空き家が増加の一途をたどっています。

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、空き家数は過去最大の900万2000戸、空き家率も過去最高の13.8%に達しました。

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」

使用目的のない空き家は、放置されるとさまざまな悪影響を引き起こします。

その中には、地域の経済や環境への負担が含まれ、個人の問題にとどまらず社会全体に影響を及ぼす重大な課題となっています。

では、みなさんのご実家はどうでしょうか?

ご両親が現在お住まいであれば問題はありませんが、すでに他界されていたり、入院や高齢者施設への入居によって実家が空き家になっているケースも少なくありません。

本記事では、実家が空き家になった際にどのような対策が必要なのか、具体的な方法を解説します。

もしも実家がすでに空き家になっている場合は、早めに適切な対応を検討してみましょう。

目次

実家が空き家になるタイミングは?

実家が空き家になるのは、どのような状況で起こるのでしょうか?  

一般的に、主に以下の2つのケースが挙げられます。

親の死亡

親が亡くなったことで実家が空き家になるケースが多く見られます。  

この場合、子どもたちはすでに別の場所で生活を築いており、実家に戻る予定がない場合、空き家の状態が続くことがあります。  

また、親が他界してすぐに家をどうするか決められない場合も多く、結果として長期間空き家となってしまうのです。

引っ越し

親が引っ越すことで実家が空き家になるケースもあります。  

例えば、子どもとの同居を始めたり、高齢者施設へ入居したりする場合、急に家が空いてしまいます。

このような場合、家をそのままにしておこうと考えることが多く、結果的に放置されることがあります。  

特に、感情的な理由や時間的な制約で処分や活用を先延ばしにしてしまうことが原因となるケースも見られます。

空き家が放置される理由

なぜ空き家のまま放置されるのでしょうか?  

その背景には、以下のような理由があります。

処分するために費用がかかる

空き家を処分するためには、解体費や家財類の処分費など、多額の費用がかかります。  

親が処分費用を準備していればいいのですが、急な場合などは子どもが支払わなければならないため、処分をためらう場合が多いです。  

売却すると、処分費用を賄える可能性もありますが、思った金額で売却できない場合や手間を考えると後回しにしてしまい、そのまま放置されるのが現実です。

荷物をそのまま残している

家があると、荷物をそのままにしておけます。  

親がとっておいてくれた思い出の品なども残しておくことができるため、空き家のまま家ごと残しているというケースも多いのではないでしょうか。  

特に、親が生前大切にしていた品々や思い出が詰まった家を処分することに心理的な抵抗を感じる人も少なくありません。

建屋があると固定資産税が軽減される

固定資産税には「住宅用地特例」があります。  

住宅用地特例とは、200平方メートル以下の住宅用地であれば6分の1、200平方メートルを超える部分には3分の1に固定資産税を軽減できるという仕組みです。  

この特例の影響で、更地よりも空き家にしておくほうが固定資産税を軽減できるため、空き家を放置してしまうことになるのです。

空き家を放置するデメリット

空き家を放置したままにすると、どんな影響があるのでしょうか?  

放置のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

建物の劣化

人が住んでいる状態よりも空き家の方が劣化が進みます。  

掃除や換気など、定期的に行えば劣化を防げますが、放置したままになると湿気が溜まり、カビ・ダニ・シロアリなどの害虫が発生しやすくなります。  

さらに、地震や台風などの自然災害によって屋根や天井が傷む恐れもあります。  

結果的に修繕費用が高額になり、さらなる負担となることがあります。

近隣住民への迷惑

庭の植物が近隣の建物や敷地に伸びて迷惑をかけたり、生い茂った樹木が通路や道路の通行を妨げる恐れもあります。  

また、ゴミなどを不法投棄されることで、近隣住民とのトラブルや行政からの指導を受ける可能性もあります。  

空き家の放置は地域全体の景観や治安にも悪影響を与えるため、放置のリスクを軽視してはいけません。

 加害責任

家屋の倒壊や屋根の落下などによって近隣の家や土地の建物・塀に被害が発生したり、通行人がケガをする事故が起きた場合、民事訴訟により損害賠償責任を負う可能性があります。  

特に、劣化が進んだ空き家は危険性が高まるため、早めの対処が必要です。

犯罪の温床

放置された空き家は、放火や不法侵入、不法占拠、盗難など犯罪の温床となりかねません。  

地域の治安を守るためにも、適切な管理や防犯対策を行うことが重要です。

維持管理費がかかる

空き家であっても固定資産税や都市計画税はかかります。  

さらに、火災保険や地震保険の保険料、水道や電気の基本料金などの維持管理費用や修繕費用も発生します。  

これらの費用は放置していても減ることはないため、経済的な負担が大きくなる可能性があります。

空き家の活用法5選

空き家を放置せずに活用するにはどうすればいいのでしょうか?  

いくつかの活用法をご紹介します。

①賃貸にする

空き家を手放したくない方や定期的な収入を得たい方は、賃貸にすることを検討しましょう。  

賃貸にすることで家賃収入を得ることができます。  

ただし、リフォームは必要ですし、維持費や修繕費がかかるため、収支が合うか確認する必要があります。  

管理会社に委託すると、入居や退去などの手続きを代行してくれるため、手間を減らせます。  

具体的な手続きについては、不動産会社に相談すると良いでしょう。

②売却する

維持管理が面倒な方やお金が必要な方は、売却を検討しましょう。  

不動産会社に相談し、査定してもらうことで市場価値を確認することができます。  

家を売却する際には、仲介手数料や印紙税などの費用が必要です。  

また、すぐに買主が見つからない場合もあるため、時間がかかる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

③土地の活用

建物の維持管理にお金をかけたくない場合は、建物を解体し土地を活用するのも一つの方法です。  

例えば駐車場として貸し出すことで収入を得ることができ、管理の負担も軽減されます。  

解体費用が大きな負担になる場合がありますが、自治体によっては「空き家対策」として解体の補助金制度を設けているところもあります。

一度役所に問い合わせてみましょう。

④空き家バンクを利用する

空き家物件情報を自治体のホームページなどで提供し、空き家の売主や買主を繋ぐ制度です。  

空き家バンクを利用することで、空き家を探している方を見つけることができます。  

自治体だけでなく、民間団体やNPOが運営するケースも増えています。事前に情報収集をしておくと良いでしょう。

⑤サブリースを利用する

サブリースとは不動産会社が不動産を借り上げて、第三者の入居者を募集して貸し出す仕組みです。  

サブリースを利用することで、不動産会社が間に入るため、入居募集の手間がかからず家賃収入が見込めます。

実家を相続したらやるべきこと

実家を相続したら、まず何をしたらいいのでしょうか。  

やるべきことを挙げていきます。

相続登記

空き家を相続したら相続登記を行いましょう。  

相続登記は2024年4月1日から義務化されました。  

土地や建物の相続人は所有権の取得を知った日から3年以内に申請をしなければなりません。

法務省㏋:不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~  

不法侵入対策

空き家を放置しておくと、不法侵入される恐れがあります。  

不法侵入を防ぐために、雨戸を閉じる、鍵を強化するなどの対策を講じましょう。

不用品の片づけ

家具や家財、日用品や洋服など不要なものは早めに処分しましょう。  

片づけを行うことで、虫の発生を防ぐことができ、売却や賃貸などにもスムーズに対応できます。

ライフラインの解約

水道や電気、ガスは忘れずに解約しましょう。  

放置したままだと基本料金が発生します。また、不法占拠を防ぐのにも効果的です。

空き家は放置せずに早めに対策を

実家が空き家になった場合、放置せずに早期に適切な対策を講じることが非常に重要です。

空き家をどう活用するかについて悩むこともあるかもしれませんが、不動産会社や空き家の活用に詳しい専門家に相談し、アドバイスを受けましょう。

空き家になる前に、物の整理や管理を進めておくことも大切です。

計画的に準備を進めておけば、空き家問題を未然に防ぐことができ、将来的にトラブルを避けることができます。

早い段階で準備をしておくと、実家が空き家になった場合にも放置したままにせず、今後の生活に役立てることができるでしょう。

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