終活を進める中で銀行口座の整理は欠かせない重要な取り組みです。
特にお金に関することは本人しか把握していないことも多く、生前に整理しておくことで家族の負担軽減につながります。
また、長年利用がない口座は「休眠口座」と呼ばれ、金融機関によっては口座管理手数料がかかる場合もあります。
生前の元気なうちに銀行口座を整理しておくことで、残された家族も安心して手続きを進められるでしょう。
今回は、銀行口座を整理するメリット・デメリット、放置することで起こるリスクなどをご紹介します。
亡くなったら銀行口座のお金はどうなる?
そもそも亡くなったら銀行口座のお金はどうなるのかご存知でしょうか?
銀行口座は名義人の死亡を確認した時点で、口座を凍結します。
凍結された口座は、遺産分割協議など相続手続きが完了するまで出金や振込などが停止されます。
口座凍結を解除するためには、さまざまな必要書類も必要になるため、時間と手間がかかることが多いです。
銀行口座を生前に整理するメリット
銀行口座を生前に整理することで、亡くなった後の相続手続きや家族の負担を軽減することができます。
では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
①家族の負担を軽減できる
亡くなった後、残された家族が行うべき手続きは非常に多岐にわたります。
その中でも、銀行口座の解約や凍結解除は時間と労力がかかる作業の一つです。
特に、複数の銀行口座があると、各銀行で個別に手続きを行う必要があり、さらに相続人同士で協議する場面が増えることになります。
生前に銀行口座を整理しておけば、家族は不要な手続きを減らすことができ、葬儀や相続の手続きがスムーズになります。
また、複数の銀行口座があると、相続手続きに手間と時間がかかることがあります。
例えば、相続に必要な遺産分割協議を行う際には、口座ごとに残高証明書を取得し、全ての財産を把握しなければなりません。
生前に口座を整理しておくと残された家族の負担が軽減され、相続がスムーズに行えるでしょう。
②お金の管理がしやすくなる
銀行口座を整理することで、日常的な資産管理も簡単になります。
複数の銀行口座にお金が分散している場合、その管理が複雑化し、資産の全体像を把握するのが難しくなることがあります。
少数の口座にまとめることで、自分がどれだけの預貯金を持っているのかを把握しやすくなり、生活費や貯蓄、投資などの管理もスムーズになります。
また、老後の資産を計画的に運用するためにも、口座の整理は有効です。
口座をシンプルにすることで、必要な資金の取り出しや、年金受給口座などの運用も円滑に進められるようになります。
④休眠口座を防げる
銀行口座は、10年以上取引がないと「休眠口座」となります。
休眠口座になると、その口座からのお金の引き出しや振込ができなくなり、再度利用するためには手続きをしなければなりません。
特に、放置された口座が多いと、手続きを進めるだけでもかなりの時間がかかります。
生前に休眠口座を整理し、不要な口座を解約しておけば、こうしたリスクを防げます。
また、休眠口座があると銀行から管理手数料が発生することもあり、無駄な費用をかけないためにも、早めの整理が大切です。
⑤不正利用のリスクが減る
長期間放置された銀行口座は、情報漏洩や不正利用のリスクが高まります。
特に、個人情報が漏洩した場合、放置された口座が犯罪に利用される可能性もあります。
生前に銀行口座を整理しておけば、このようなリスクを大幅に減らすことができ、資産を安全に保つことができます。
使用していない銀行口座を放置するとどうなる?
取引のない銀行口座を放置すると休眠口座になり、場合によっては口座管理手数料がかかる場合もあります。
10年以上利用がないと休眠口座になる
銀行口座を10年以上利用していない場合、その口座は「休眠口座」となります。
休眠口座になると、銀行側で管理が行われ、利用者のアクセスが制限されます。
再度利用するためには、銀行に対して手続きを行い、口座の再開手続きを行う必要があります。
休眠口座を再び利用するには、通帳やキャッシュカードが必要になるため、紛失している場合はさらに手続きが複雑になります。
放置することで、必要な時にすぐに使えない不便さが生じるため、不要な口座は早めに解約しておくことが重要です。
口座維持手数料がかかる場合もある
銀行によっては、長期間利用されていない口座に対して「口座維持手数料」が発生する場合があります。
三菱UFJ銀行の場合は、2021年7月以降に開設した口座を対象に未利用口座管理手数料の導入が開始されました。
2021年7月1日以降に開設され、2年以上未利用の普通預金口座については、不正口座の作成・利用の防止や口座の維持・管理に係る費用の一部に充当するための手数料「未利用口座管理手数料」(年間1,320円(税込))を新設いたします。
特に、残高が少ない口座や、口座残高がゼロになっている口座では、一定期間ごとに手数料が差し引かれることがあり、気づいた時には残高がなくなっていることもあります。
ネット銀行や都市銀行では、この手数料が発生するケースが増えているため、使わない口座は早めに整理し、無駄な費用がかからないようにしましょう。
銀行口座を整理する方法
①持っている銀行口座を把握する
まずは、自分がどれだけの銀行口座を持っているのかを正確に把握しましょう。
通帳やキャッシュカードを確認し、利用している銀行とその残高を確認します。
特に、長期間使っていない口座は、どの銀行で開設したかを思い出すのが難しい場合もありますが、ここで全ての口座を洗い出しておくことが大切です。
また、下記も合わせて確認しておきましょう。
- 通帳
- キャッシュカード
- 届出印
②解約する口座を選定する
次に、使用していない口座や不要な口座を選定します。
普段使っていない口座が複数ある場合、必要最低限の口座に集約することで管理が簡単になります。
解約する口座を決めたら、その口座に紐付けられている公共料金やクレジットカードの支払いがないかを確認し、必要に応じて支払い口座の変更を行いましょう。
③不要な口座の解約手続きを行う
不要な銀行口座を解約するには、銀行窓口での手続きが必要です。
通帳、キャッシュカード、届け印を持参し、窓口で解約の手続きを進めます。
もし、通帳やキャッシュカード、届け印を紛失してしまった場合でも、窓口で手続きを進めることが可能です。
また、口座解約後に残高が残っている場合は、そのお金を引き出すか、他の口座に移すことができます。
ただし、休眠口座になっている場合はATMで引き出しができないため窓口で手続きが必要です。
銀行口座は1つで十分?
銀行口座は、使用目的に合わせて2、3個ほど使い分けることがおすすめです。
例えば、生活費用の口座、貯蓄用の口座、投資用の口座など、それぞれの目的に応じて使い分けると、管理がしやすくなります。
ただし、必要以上に口座を増やしてしまうと、管理が複雑化するため、口座は3つ程度に絞り、シンプルにすることを心がけましょう。
金融機関のシステムトラブルや破綻などのリスクもあるため、1つに絞らず、2〜3個程度で管理しましょう。
銀行口座を解約するデメリット
銀行口座を解約することで、付帯サービスが利用できなくなるデメリットもあります。
例えば、クレジットカードや公共料金の引き落としに使っていた口座を解約すると、支払いが遅れてしまうことがあります。
事前にどの口座にどの支払いが紐付いているかを確認し、必要な手続きを行ってから解約するようにしましょう。
また、銀行の特典サービスやポイント制度を利用していた場合、それらの特典が無効になる可能性があるため、注意が必要です。
銀行口座の整理は生前から進めておくべき大切な準備
銀行口座の整理は、生前に取り組んでおくことで残された家族の負担の軽減にもつながります。
亡くなった後に口座が凍結されてしまうと、家族は手続きに追われ、相続手続きも複雑化するでしょう。
また、使用していない銀行口座を放置すると、休眠口座になり、手続きがさらに複雑になるだけでなく、手数料が発生するリスクもあります。
不要な口座は解約し、必要な口座にまとめることで、日常的なお金の管理もシンプルにでき、安心して終活を進められるでしょう。
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