代理人カードとは、1つの口座に対して複数のカードで入出金ができる便利なキャッシュカードです。
例えば、親の銀行口座で使用できる代理人カードを持っていれば、親のキャッシュカードを使わずに親の口座から入出金ができます。
親の口座管理を家族で行う場合に役立つ代理人カードですが、親が認知症になった場合は要注意です。
本記事では、代理人カードが認知症にどのように関連するか、利用時の注意点について詳しく解説します。
代理人カードとは?
代理人カードとは、銀行が発行するカードで、指定された家族などの代理人が、本人に代わって入出金ができるものです。
銀行などの金融機関では、原則として口座名義人以外による出金は受付できません。
代理人カードがあれば、代理人が口座名義人の口座から出金などができるため、入院時などの緊急時も対応が可能です。
ただし、不正利用を避けるために一定の制限があります。
代理人カードのメリット
代理人カードのメリットは以下の通りです。
- 親の預金口座の管理が容易になる
- 本人が暗証番号を忘れても入出金ができる
- 家族が親の銀行口座で入出金ができるようになる
代理人カードがあれば、親の入院費や介護費など、預金口座の情報を管理しやすくなります。
また、突然の入院で入院費が必要な場合も代理人カードがあれば、すぐに出金が可能です。
さらに、高齢の親が暗証番号を忘れてしまった場合でも、代理人カードがあれば入出金ができます。
代理人カードのデメリット
高齢の親の口座管理などに便利な代理人カードですが、デメリットもあります。
- 代理人に預金残高を知られてしまう
- 本人が亡くなった後は使用できない
- 金融機関ごとに代理人カードの発行が必要
- 出金の限度額が決まっている
- 家族間のトラブルが発生する可能性もある
例えば、親が子供に代理人カードを渡した場合、預金残高を知ることになるため、家庭内での管理方法や相続トラブルに繋がる可能性があります。
また、亡くなった後は口座が凍結されると同時に自動で無効となり、利用できなくなります。
さらに、代理人カードの取引に関しては、限度額が引き下げられるなどの制約があり、まとまったお金が必要なときに対応できない場合もあります。
代理人カード発行の対象者と条件
代理人カードの発行の対象者は金融機関によって異なりますが、口座名義人と生計を同一にする親族が対象とされる場合が多いです。
また、原則1名の条件が設けられている場合も多く、発行枚数にも制限があります。
代理人カードの取得方法
代理人カードの発行には、本人が申請手続きを行う必要があります。
手続き方法は金融機関によって異なるため、事前に確認してください。
また、手続きの際は以下が必要になる場合があります。
- 口座名義人の通帳もしくはキャッシュカード
- お届け印
- ご本人と代理人それぞれの本人確認書類
- キャッシュカード発行手数料
代理人カードは認知症になると使えない可能性がある
高齢の親の入院費や介護費用など、預金口座の管理に便利な代理人カードですが、認知症になると注意が必要です。
口座名義人が認知症などの理由で金融機関に判断能力の低下を判断された場合、口座が凍結される可能性があります。
代理人カードを持っていても口座凍結は免れず、認知症対策にはなり得ません。
親が認知症になってしまったら?
親が認知症になり代理人カードが利用できなくなってしまった場合は「成年後見制度」を活用できます。
成年後見制度とは、認知症などにより判断能力が十分ではない人の財産を守るためのものです。
また、認知症により口座が凍結された場合、凍結解除には成年後見制度の利用が必要になります。
親の認知症に備えるためには
すでに認知症になってしまった場合は、成年後見制度などの利用が必要ですが、元気なうちに備えておくことも重要です。
- 家族信託
- 任意後見制度
家族信託とは、預貯金などの財産を信頼できる家族や親族に託し、管理などを任せる仕組みです。
また、任意後見制度は本人に十分な判断能力があるうちに自らが選んだ代理人(任意後見人)に財産管理などの代理権を与える契約を公正証書によって結んでおくものです。
信頼できる家族や親族に財産の管理を任せたい場合は、元気なうちに対策を行いましょう。
代理人カードを正しく理解して活用するために
親の口座管理などに便利な代理人カードですが、認知症になった場合は注意が必要です。
家族が代理人カードを持っていても認知症による口座凍結は防げないため、元気なうちから対策を講じる必要があります。
認知症への対策としては、家族信託や任意後見制度など様々な手段があるので、専門家に相談されることをおすすめします。
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